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pdr
※条件付き限定微笑(東御)


 薄い腹に手を乗せるとすっかり枯れた声で非難された。もう無理だと訴える言葉に笑みで応えてやる。
 組み敷いた男が自分の笑みに弱いことを東堂はよく知っていた。にやけた顔を気持ち悪いと言いながら、笑った時にしか見せない僅かな変化に気付いた。レース中の策略以外で人と目を合わせることを苦手とする彼にしては珍しく東堂の顔を見つめ、そっと視線を外す。

 行為の最中は普段以上に顔を見られることも目を合わせることも嫌う御堂筋の視線を絡め取る為に東堂は笑う。
 快感と恐怖で曖昧になっている意識で、常のように巧く視線を誤魔化すことができない大きな瞳が東堂の笑みに捕まり潤んで震える。
「みどうすじ」
 微笑んでやるたびに性器を埋め込んだ箇所が切なげに締まる。快感に耐えて名前を呼ぶと慌てて視線を外し顔をそらすので逃がさないように両手で頬を挟んで振り向かせた。
「御堂筋」
 二人きりの時にだけ、東堂は御堂筋に微笑む。微笑んでやった時の御堂筋の、ほんの僅かな、ともすれば見逃してしまいそうなほど小さな変化を他の人間に見られたくなかった。
 笑みに見惚れた大きな口が緩み美しい歯並びがふわりと晒される。緩んだ表情は卑猥な行為の最中だと言うのに幼く見えた。思わず笑い声が漏れそうになるのを耐え、薄く開いた口に触れるだけのキスをした。
 先程まで触れていた腹部がぴくりと反応する。近距離で合わせた目が蕩け、内側がまた切なげに東堂を求めた。何度繰り返しても変わらない仕草と反応に、東堂はますます笑みが深くなるのを実感した。


2015/5/23

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あきゅろす。
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