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※拘束周期(東御)


 東御への今夜のお題は『今夜だけ、 / 無駄な抵抗 / ずっとこうしたかった』です。 http://shindanmaker.com/464476

 ほとんど可動域のない腕を必死に動かそうとする姿を見て喉の奥で笑う。数十分前まで大の男が二人で組み合いの喧嘩をしていたせいで部屋中が見る影もないほど散らかっていた。本棚から盛大に散らばった御堂筋の大学で使う書籍や、二人共用のレースが映っている円盤、机の上に並んでいたコップも床ですっかり形を失っている。
 自転車から降りた御堂筋の腕力や運動能力は凡人以下だが本気で暴れられれば東堂でも無傷では済まなかった。頬の痛みに眉を寄せ、薄くついた爪痕を掌で擦る。
「…どうせ負けるんだから最初から大人しくしてろ」
 派手な組み合いの後の荒い息のまま言う東堂に、同じく荒い息を抑えられない、しかし口に貼られたガムテープの所為で言葉を発する事の出来ない御堂筋が視線で抗議した。
 真っ黒で大きな瞳に睨まれるように見つめられるのは好きだ。けれど今は彼の自由を奪うことに嫌に興奮していた。衣類を仕舞っていた籠も床に落ち、中身は散乱していた。その中からタオルを一枚拾い上げて目を覆うとガムテープの下からくぐもった声が漏れた。
 足を折り曲げ太腿と足首をガムテープでくくり、太腿の上に掌を押し付ける形で手もそこに固定した。身体の自由は全くと言っていいほどない。目も見えず言葉も出せなくなり、ただ座らされている事に不安を覚えたのかつりあがっていた眉が僅かに下がった。
 ようやく呼吸が整った東堂は髪を掻き上げて大人しくなった御堂筋をじっくり見下ろす。掴み合っている間にカチューシャは床に落ちていた。
 何とか固定された手を自由にしようと身悶えている二の腕に触れると肩が跳ねる。暴れたいのだろうが拘束の所為で僅かに身悶えるだけに終わった。触れるか触れないかの距離で指を滑らせガムテープが巻かれた位置までなぞる。声にならない呻きを聞きながら下着一枚だけつけている下肢まで指を伸ばした。
「んっ!んん、ん」
 唯一まともに動かせる首を振る姿は滑稽を通り越して哀れだ。鍛え上げられた、けれど薄い腹部に一度ひたりと掌を当てて下着の中に手を差し入れた。
「んぅっ、んん、ぅ」
 背を丸めて東堂の肩に頭を当てるが抵抗と言うよりは縋っているようだ。
「邪魔だ。」
 吐き捨てるように言い、健全な高校男児と思えないほどつるりとした陰部をためらいなくまさぐり陰茎を強く握る。うめき声が止まり、ひきつった呼吸が聞こえた。強弱をつけてそこを刺激し、床に散らばった物の中から目的の潤滑剤を拾い上げた。普段使っている物とは仕様が違う。甘ったるい匂いと、興奮剤が入っているそれを手を差し入れて開いた部分から流し込んだ。指を動かすたびに粘着質な嫌らしい音が部屋に響く。あまり派手に反応をしない御堂筋のそこは、興奮剤のせいで可哀想な程張り詰めていた。
 東堂の肩に押し付けられた汗で濡れた頬に、汗以外の体液が混ざり始める。背を丸め必死で快感を逃がしているのが健気に見えて口元に笑みが浮かぶ。空いている手で丸められた背を撫でると下がっていく掌に何をされるか予想した体が硬直した。恐怖で固まった身体はすぐに抵抗を始めるが当然動けない。背骨を強く辿り、後ろから下着を下げる。前から垂れた先走りと潤滑剤ですんなりと入った指に塞いだ口から悲鳴が漏れた。
「ふ、うっ…んんんっ!」
 激しく振られる首が限界を訴え、すぐに動きが止まってから痙攣して拘束された身体が吐精する。
「ふ、…ふ、っぅっ!う、んっ!」
 弛緩しかけたところで下着を固定された足の位置までずり下げた。肩を強く押して密着した体から離して床に押し倒す。足を閉じてもしとどに濡れた個所が丸見えになる姿勢に悲鳴が嗚咽に変わる。漏れる声には許しを請う発音が聞こえたが何も言わずに指を挿しいれて浅い個所から刺激を始めた。
 浅い個所でゆるやかに動く指に仰向けにされた喉が反らされ骨ばった肩が大げさに跳ねる。動きを許された場所だけで快感を逃がすのに必死なのが解った。何度も同じ個所を刺激してるうちに慣れてきたようで呼吸が徐々に整い始める。見計らって、指を増やして根元まで埋める。
「〜っ!」
 背中が大きく反りあがり、後頭部が床に当たる音がした。突然感じる場所を強く押された所為でうまく快感を逃がせなかった体が意思に反して厭らしくうねった。
 タオルに覆われている目で確認できないが恐らく意識が飛んだ筈だ。汗に塗れて粘着力の落ちているガムテープを口から外すと予想通り罵声は出なかった。
「ぁ…はっ…あ、ふ…はー…」
 急に解放された唇が酸素を取り入れるために大きく開かれ、長い舌が垂れる。甘ったるい潤滑剤で濡れた指で舌に触れた。
「ん…っふ、ぅ…」
 与えられた甘みを無意識に受け入れ東堂の指に舌を絡める。卑猥な光景に目を細め、指を放して両手で膝を掴んだ。拘束したままの足は簡単に割り開くことができる。
「ぁっ、い、ややぁ…」
 指でぐずぐずに溶かされた場所に当たる熱に、朦朧としながらも御堂筋が抵抗の声をあげた。
「うそつき」
 自分で思うよりもずっと低い声だった。
 柔らかい肉を分けて押し入ると嫌がる声が上がる。けれど声に混じった色は明らかに歓喜していた。
「あっ、や、やや、や」
 叩き付ける動きに合わせて上がる声は快感に溶けている。感じる場所を避ければ縛られている足がもどかしそうに動いた。くびれのある腰がいやらしく振られ、埋め込んだ性器がますます硬度を持った。
 入れる時には悦んで迎え絡みつき、抜こうとすれば名残惜しそうに放さない肉に東堂も腰が震える。合意でベッドに入った時とは明らかに違う反応であるのはどれだけ本人が否定しても明らかだった。
「ふ、っ…あ、あっあ、」
 拒絶の言葉が出なくなり、代わりに意味をなさない喘ぎと唾液を唇から零して御堂筋が達した。性器からの射精はなかったが東堂を咥え込んだ箇所がびくびくと痙攣し、腹筋がひきつってから全身が脱力する。うねる内側に誘われて東堂もそこに吐精した。内側に注がれる熱に、達したばかりの御堂筋の下肢が大げさに跳ねる。下腹部が起伏し、立ちあがったままの幼い性器が震えてきつく拘束された太腿から膝、足首までががくがくと震えた。
 目を覆っていたタオルを乱暴に剥ぎ取ると開かれている目が宙を見ていた。完全に意識を失っている。唇から漏れる言葉に御堂筋の意思はなかった。
「なか、…ぁ、ん、…ひもち、いぃ」
 当然だが、御堂筋は中に出されることを良しとしない。後々の体調にも関わるのだから東堂も納得している。けれど、行為に慣れた身体がそれを求めている事も知っていた。知っていて、認めることをしない御堂筋を満足させるために月に一、二度の頻度で強引に意思を奪う。
 本人は絶対に認めず、受け入れることをしないため適当な口実をつけて乱暴に事に及び意識がなくなるように仕向ける。翌朝になり、ペダルを回せば御堂筋は行為の事を綺麗に忘れるので同じ手順で繰り返しても構わない。
 今回の口実は御堂筋が連絡もなしに外泊した事だった。石垣の家に泊まって来たのだと悪びれもせずに言う恋人に激昂したフリをして掴みかかった。フリ、と言えば確かにフリだが本当に無断で石垣の家に止まられたらこの程度では済まなかっただろうと散らかった部屋を見回した。意識を失い、拘束されたまま床に転がっている御堂筋に視線を戻して怪我がないか確認する。
 御堂筋は東堂に連絡せず外泊をしたが、もともと帰る気がなさそうな日は東堂が先に石垣に連絡をするようにしていた。練習場の位置もさることながら御堂筋が気軽に泊まれる相手を熟知しているからだ。常識と良識を持った男は恋人からの連絡があれば例え秘めた恋心を抱いていても御堂筋に手を出すことはしないと東堂はよくわかっている。
 月に一度か二度だけの乱暴な行為は東堂が望んでしているわけではないが、憎からず想いを寄せている相手に無防備に近づく恋人を想うとたまにはいいかと思ってしまう。
 常であれば御堂筋が嫌がる程優しく扱い、決して内側に残す様な事はしない。初めての夜、確かに彼の中に放ってしまいたいと願ったが乱暴な行為の末でしたかったわけではない。彼が満足するのであればできるだけ乱暴に扱おうとするにつれ、自身の中にある凶暴な物が露出していく。嗚咽や悲鳴、意味をなさない抵抗に唇が歪むのを自覚するたびに戻れなくなっている気がした。
 ぐったりした身体の拘束をできるだけ優しく解き、腿に垂れてきた行為の名残を拭ってやる。
 次の口実は何になるだろうと、カレンダーを見て東堂はぼんやりと考えた。

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