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◆青山恭平の事件簿◆
古刹殺人事件(2)-7
「第一、国家公務員上級の資格があるから、君には公安の探偵の認可が下りたんだよ。結果的に使ってるんだよ。」
「そうかな?」
「そうだよ。
 それに面接試験だって、有名人の君に、試験官は却って戸惑っちゃうよ。」

 恭平は、クスクス笑い出した。

「な、なんだよ、恭平。何がおかしいの?」
「ねえ、光。なんか君、俺に対する態度、激変してないか?」
 僕もクスッと笑って言った。
「そう?別に。
 ただ僕は、長いものには巻かれるし、体制には迎合する性格なんだよ。」

 罰当たりなことに、僕はこう言いながらも、知らない間に自分が恭平に特別扱いされていたことを知って、心の奥から勝手に湧いてくる嬉しさに、自然と顔が綻(ほころ)んでしまっていた。そして、さっきまでの、恭平から受けた絶望的な孤独感や彼に対する訳の分からない腹立たしい感情も、薄れてきていた。

 凌がホッとしたように言った。
「ああ、光さん。やっと私に対する嫉妬の炎が鎮火してくれましたね。良かったです。」

 嫉妬?

 嘘だろ?
 じゃあ、さっきまでの、いや、今までに感じた、恭平に対する訳の分からないムカつきやイライラ、腹立たしい思い、寂しさ等は、全部、恭平の周りにいる僕以外の人間に対する「嫉妬」だったというのか?

 確かに、そう考えれば全て説明がつく。何ということだろう。僕は、この前の恭平の「君の為なら死ねる」発言以来、どうしようもないほど彼に惹かれてしまっている自分に、今更気づいた。最早、「依存」や「心酔」なんていう次元ではない。

 こんなことでは駄目だ、何とか軌道修正しなくては。それに、僕がそう思っているということを、恭平には絶対に気づかれちゃ駄目だ…


「…きら、」
「光さん、」
「え、何?」
「何、ボーっとしてんだよ、光?」
「え、ボーっとしてた?」
 恭平は、またクスッと笑った。
「君はたまに、そうやって心がワープしちゃうからな。
 で、どうすんだ、俺は行くけど?」
「あ、勿論、僕も行くよ。
 だけど、今、1時半だろ。3時までに戻ってこれないよね。どうするの?」
「悪い、凌。葛山君、置いてってくれ。それで、みんなが来たら、聞き込みの初歩とか教えといて貰ってくれ。」

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