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◆青山恭平の事件簿◆
占い師VS青山恭平(4)-5
 青地に唐草模様のカーペット、木製のシックな勉強机、奥の壁際にはグランド・ピアノとクローゼットがある。そして、見覚えのある、超ロングでセミ・ダブルのキングサイズの大きなベッド。うちのマンションの恭平の部屋のものと、ソックリである。本棚には、六法全書、刑法、民法、刑訴、民訴等の専門書、そして受験の時に使ったと思われる「赤本」までもが、そのままにしてあった。


「恭平、この部屋…」
「ああ、驚いたよ、俺の部屋だ。それも、出ていった時のままだ。」
「とっといてくれるなんて、すごいですね。」
「いや、これだけ部屋数があるから、取り立てて片付ける必要がなかったんだよ。」
「そしたら、ほっぽっといたってことだろ。だけど埃が全然ないよ。掃除したてって感じだね。」
「ええっ、青山さん、じゃあ、あれから10年近く、こうしてとってある、ということですか?」
「どうだろ。そうなのかな?」
「そうだよ、恭平。」
「いや、昨夜俺が電話したから、こういうこともあろうかと、成澤さんが誰かに掃除させたんだよ。」
「いいえ、恭平坊ちゃま、違いますよ。」

 ノックの音と共に、不意に成澤さんが現れた。
「お庭にいらっしゃらないから、こちらだと思いました。
 こうして、いつか恭平坊ちゃまがお戻りになるって信じていました。院長先生の言いつけで、この10年、管理させて頂いておりました。」
「親父の?」
「また、そのような下品な言葉を。『お父さん』って仰いませ。
 ええ。お父上が『恭平がいつ戻るか分からないから、毎日ちゃんと掃除させておいてくれ』って仰って。」

 恭平はまた、しばらく黙っていた。

「さ、恭平坊ちゃま、お食事の用意が出来ました。着替えは宜しいですから、いらして下さい。」
 成澤さんはこう言うと、先に行った。

「着替え?」
 僕は思いついたことがあって、奥のクローゼットに行った。ドアを開けて驚いた。恭平の学生時代の服が、沢山、入ったままである。学生服もあった。

 なんか、僕は感激してしまった。ハチさんや凌にあって、僕にないもの…恭平の青春時代の思い出。そのホンの一部だが、今、この目で見ることが出来ている。

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