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◆青山恭平の事件簿◆
古刹殺人事件(3)-8
 そう小声で話している内に、検死が終わった。井上主任が大声で言った。
「検死の説明です。」
光ヶ丘西署の面々、岸部署長を初め、女性の成田刑事、伊藤、太田、河野、木島、本村諸刑事が、僕達に目礼しながら、遺体の傍に集まってきた。

 藤社先生が説明を始めた。
「遺体には、三箇所の刺し傷があります。腹に二箇所、胸に一箇所、その胸の傷が心臓に達しています。」

 ここで医者は凌を見て言った。以前、「即死」の定義のことで凌が質問したことがあったのを、覚えていて下さったらしい。世間一般では、その一瞬で死ぬことが「即死」だと思われている。それで藤社先生は次のように仰った。

「いわゆる、『即死』と思われます。死亡推定時刻は、死後硬直の具合、角膜の混濁具合等から、屋外で寒いが、まあ、多少のずれはあっても、死後6〜8時間というところでしょう。詳しいことは、あとで解剖所見を…ええっと、小石川さん、」
「はい、」
「どちらに送りましょうか?」
「あ、じゃあ、光ヶ丘西署にお願いします。」
「分かりました。じゃあ、私はこれで。」
 署員と僕達は、全員で挨拶した。
「ありがとうございました。」

 藤社先生は踵(きびす)を返すと、相も変わらず飄々と帰っていかれた。先ほど迎えにいった河野君が、また、藤社先生を送っていった。

 鑑識さんも検死も終わったので、遺体が大塚に運ばれていく。立川正和氏が一緒に付き添っていった。


 井上主任が成田刑事に何か言うと、成田刑事と木島刑事が人型の所に花と線香とを供えた。

 そのあと、井上主任がこちらに来た。
「どうも、青山先生、先日はお世話になりました。
 こんなに早くにまたお目にかかれて、嬉しいやら困ったやら、ですわ。」
「どうも、井上主任。そうですね、練馬もいつの間にか、物騒になりましたね。」
「6〜8時間前っていいますと、午前7時から9時の間ってことになりますな。」
「そうなりますね。」
岸部署長がわくわくしながら聞いた。
「青山さん、まず、どうされますか。」
「そうですね。基本的なことは井上主任にお任せして、私達は独自の方面からやっていきましょうか。」
岸部署長が嬉しそうにまた聞いた。
「と仰いますと?」
「ええ、まず、なぜこの場所なのか、このお寺に何か意味があるのかとか、そんなところです。」

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