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◆青山恭平の事件簿◆
幸福な犬(6)-6
 恭平は愛煙家だが、酒は殆ど飲まない。ブランデーグラスを手のひらで玩(もてあそ)びながら考え事をすることが、本当に極たまに、それこそ年に一度あるかないか、くらいである。

 そんな恭平だが、部屋のサイドボードには、どうやって手に入れたのか、事件解決のお礼にでも貰ったのか、「ドンペリ」だの「V.S.O.P.」だのの高価な洋酒が、全て封をしたまま、所狭しと並んでいる。

 それらの瓶の間に、写真立てが挟まっているのが見えた。が、残念なことに、写真までは見えなかった。


 僕は何となく、事件がもう解決したような気がしていた。あとは警察病院系の獣医に、あの可哀想なラッキーの足に本当に『遥かなる影』があるかどうか、藤井氏に立ち会わせて確かめて貰えばいい。もしあれば、三年前の事件は解決し、それに伴い今回の殺人事件も容疑者や動機は自然と解ってくるだろう。

 だから、僕らにとって三日前の殺人は、もう管轄外的存在になりつつあった。それで僕は、あのサイドボードの中の酒瓶の間に隠された写真立てには、一体何の写真が入れてあるのだろう、等と事件には関係のないことを考えながら、ぼーっとしていた。

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