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◆青山恭平の事件簿◆
古刹殺人事件(1)-8
 月子さんも言った。
「青山先生。私、あの家では死んだも同然だったんです。両親に愛されず、ずーっと一人で生きてきたって感じなんです。
 そんな中、この2〜3年、新聞で青山先生の記事を読むことだけが私の生甲斐でした。」
月子さんは、ここで少し言いよどんだ。
「雪子には申し訳ないけど、偶然青山先生と知り合えて、これは運命だと直感しました。」

「ありがとうございます、皆さん。ですが…」
 恭平はこう言った後、黙った。

 そして、少し経って真面目な顔で続けた。
「傍で見ているのと実際とでは、色々と違って幻滅するかも知れませんよ。新聞は美化して書きますし、現場では私も多少はネコを被りますしね。」
みんな、黙って聞いていた。

「それから、呼び方ですが、芥川のことは『芥川』でも『あきら』でもいいですが、私のことは、出来ましたら『青山先生』とは言わないで下さい。
 それと、事件は毎日起こる訳ではありません。暇を持て余すかも知れませんので、勉強道具をお持ちになるといいですよ。」
 ここで恭平はクスッと笑った。
「もしかすると、ここにいる間に色々な資格試験が取れるかも知れませんからね。」
みんなは、恭平の意外な発言に驚いていた。

 恭平が僕に聞いた。
「光、君、他になにかあるかい?」
「あ、そうだ。皆さん、呼び方はなんて呼んだらいいですか?月子さんは『月子さん』のままでいいですね。」
「はい。あ、でも、呼び捨てでいいです。」
「そうですか。
 じゃあ、ソリッドの皆さんは?ソリッドの時のままじゃ、マズいですよね?」
ソリッドのみんなは相談した。RICKIEが言った。
「じゃあ、社長が言うのと同じにして下さい。俺は『力哉』、HIDEYUKIは『秀幸』、YASUは『安』、KAMIYAは『神谷』、でお願いします。俺達も呼び捨てでいいです。」
「分かりました。僕のことは『あきら』でいいですよ。
 さて、」
僕は立ち上がった。

「じゃあ、今は特にはないので、何かあれば追々(おいおい)言っていきます。
 では、今日はまず掃除の仕方と電話番の仕方、それから写真の撮り方を覚えて下さい。
 あの、青山所長、」

 僕は、助手のみんなの前ではちゃんと呼んだ方がいいかと思って、こう呼んだ。

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