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◆青山恭平の事件簿◆
幸福な犬(1)-5
 会話が途切れた時、石倉さんと話しているのをよく見かける、このマンションの管理人さんが、コーヒーを持って、なぜだか勝手に入ってきた。160pくらいだろうか。目つきが鋭くて背が低い、というのが僕の第一印象だった。いつも思うのだが、何となく、フライ級のボクサーという感じがする。

「青山さん、お茶が入りましたよ。
 あああっ、お…お客さんでしたか?何だか私、邪魔のようですね。じ…事件の依頼者さんですよね?」
 彼はなぜか、物凄く慌てた様子だった。
「いや、違うんだよ、ハチ。俺の友人であくたがわ・あきら君だ。」
僕はさっと立って、挨拶した。
「よろしく、芥川 光です。」
「ええっ、あなたが芥川さんなんですか?お噂はよく石倉さんから伺っています。あ、石倉さんっていうのは、あなたのマンションの管理人です。
 芥川さんは、東大の医学部を出られて、最近、北海道から帰られたんですよね?」
「は、はあ、そうですが…」
「で、彼はここの管理人のかたおか・はちろうさん。私の幼馴染なんです。」
「片岡です。ハチと呼んで下さい。どうぞよろしく。」

 僕は、この、近所の驚くほど正確な連絡網に、一瞬、ポカンとしてしまった。知らない人にいつの間にか知られているのは、光栄ではあるが、いささか不気味である。

 これは下手なことは出来ないぞ。

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