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◆青山恭平の事件簿◆
古刹殺人事件(5)-2
「藤社先生が電話を下さったのは、ほかに理由があったんだよ。」
「ほかに?」
「ああ。腹の傷は二箇所とも、刺した後、凶器を捻(ひね)ってるんだってさ。」
「捻る?え、どういうこと?」
「以前、沢渡さんに聞いたことがあるんだ。」

 僕は驚いた。恭平が自分から沢渡さんの話をするのは、初めてだった。恭平は彼を「沢渡さん」と言った。僕は黙って聞いていた。

「彼は空手をやってたんだけどね。空手が一撃必殺って言われるほど破壊力があるのは、拳が相手に当たる瞬間に回転するからなんだそうだ。当たった瞬間に回ることによって、破壊力が倍増するらしい。」
「そうなんだ。」
「刺した時も、凶器を捻ると、まず助からない程の重症を負わせることが出来るそうだ。」
「確かに、そうだね、組織を破壊しすぎるもの。縫いようがない。」
「だが、それは凄く高等な技なんだ。普通は出来ない。それが二箇所なんで、藤社先生は俺に電話してきた、俺が剣道やってるからってさ。」
「で、どうなの?出来るの?」
「無茶言うなよ。俺がやってるのは剣道だぜ、言うなれば『棒切れ遊び』だ。真剣で相手を刺し、更に捻るなんて…出来る出来ない以前に、考えただけでもぞっとするよ。」
「…そうだよね。」
「俺は聞いたことがあるだけで実際に見たことはないんだが、出来るとしたら相当な使い手だよ。」
「助手のみんなは素人さんだよ。みんなには話す?」
「一応、助手だからな。話さなきゃ始まらないだろうな。」


 そうこうするうちに、5時半になった。ドアがノックされ、凌が入ってきた。
「青山さん、光ヶ丘西署から連絡が来ました。」
「そうか。じゃあ出かけるか。」
「でも、どうされるんですか?いくら何でも、9人は多過ぎますよ。」
「そうだな。こんなこと初めてだからな。じゃあ、今回は取り敢えず、2人連れて行くか。」
僕達はリビングに行った。
「みんな、ちょっと集まってくれ。」


 助手のみんなは自分達の定位置が決まっているようで、さっきの配置に座った。


「今話しても、君達にはまだ難しいかも知れないが、ガイシャの腹の二箇所の刺し傷は、刺した後、捻られているそうだ。」
 みんな一様に、良く分からないというような顔をした。

 力哉が聞いた。
「捻られている、ですか?」
 恭平が答えた。
「ああ。鍵を回す動作を思えば、分かりやすいだろう。」


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