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◆青山恭平の事件簿◆
第5章 助手、始動-1
第5章 助手、始動

「あれ、模様替えですか?」

 恭平と僕が資料室からデスクを出して運んでいるのを、凌が目敏く見つけて傍に来た。食事当番の秀幸と安以外のみんなも、来た。恭平が出来るだけ普通に答えた。
「ああ。一々向こうまで行くの、面倒だからね。」
「替わりますよ、光さんじゃ心配で見てられないです。」
凌はそう言うと、僕と替わった。
「何、それ、人をもやしっ子みたいに?でも、サンキュ。」
僕はクスクス笑った。


 5時を過ぎた。
 デスクを運び終えて、僕はそのまま恭平の部屋で話していた。凌と葛山君は、ソリッドのみんなや月子とリビングで色々と話をしていた。

 そこに電話がかかってきて、月子が出た。
「はい、青山探偵事務所でございます。はい…そうです。はい、少々お待ち下さい。」
月子が恭平の部屋に来て、ノックした。返事するとドアが開いた。
「青山さん、藤社先生からお電話です。」
「藤社先生から?分かった、ありがとう。」

 恭平はそう言うと、枕元の子機を取った。月子は、ドアを閉めて戻っていった。

「はい、替わりました、青山です。…はい、…え、…そうなんですか?ええ、それは聞いたことがありますが…、…分かりました。…はい、わざわざありがとうございました。」


 恭平が電話を切るなり、僕は聞いた。
「藤社先生、なんて?」
「ああ。さっきの検死の時、三箇所刺されていたって仰ってただろ。まだ詳しい検証はしていないからホシの身長は分からないそうだが、実は、腹と胸は、刺された時の状況が違うだろうって。」
「え、どういうこと?」
「腹の二箇所は、立ったまま、こう…」
恭平はベッドから降りて僕を立たせると、抱き寄せて、僕の腹の辺りを刺す真似をした。
「刺したと思えるそうだ。だが、胸の傷は、こう…」
 恭平は、僕の心臓に向かって水平にさす真似をした。
「あれ?」
「ああ、おかしいだろ?」
「何か無理っぽいよね。余り力が入らないっていうか…」
「解剖所見はまだだが、恐らく、最初に刺されて倒れた後に、馬乗りになって両手でナイフをこう握って…」
恭平が上から下に向かって刺す動作をした。
「刺したんじゃないかって。」
「そこまで、分かるんだ。」
「いや、まだ正式ではないってさ。だが、」
「だが?」


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