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◆青山恭平の事件簿◆
古刹殺人事件(4)-6
「だったら、今から何処でも行って、女の子にそういうこと言ってきなよ。僕に言うな。」
「あれ、光って女の子じゃないの?」
「恭平、僕のこと、そんな風に思ってたの?やっぱり僕は、いずみさんの代わりなんだ!」
「ちょっ、冗談だよ、光。声、デカいって!みんなに聞こえるだろ。」
「うるさいっ、聞こえて悪いことは、言うなよ!」

 僕が立ち上がって出ていこうとしたら、恭平もベッドに片肘をついて半分起き上がって言った。

「ちょっと待ってくれよ、光、頼みがある。資料室の俺のデスク、運ぶの手伝ってよ。俺、この部屋を『駆け込み寺』にしたいんだ。」
「何、それ。ここに閉じこもって、出てこないってこと?」
「いや。今までは君と二人だけだったから結構自由だったけど、これからはそうも出来ないじゃない。俺、前も言ったけど、典型的な日本人なんだよ、『みなさん、飛び込んでますよ』だからさ。」
「うん、タイタニック号のことだろ。で?」
「だから、ここで英気を養って、『探偵青山恭平』の顔を作って、事務所に行くよ。」
僕は驚いた。
「え、マジ?恭平ってそんなに繊細なの?」

 そういえば、恭平は繊細だって、「封印」の時、裕紀さんが仰ってたっけ。

「え、俺って図太く見えた?」
「うん。誰と会ったって物怖じしないし、物静かで落ち着いていて。まさか、スケベだとは思わなかったけど。
 ほら、初めて会った時、僕は君のことを34〜5歳って思ったって言ったじゃない。」
「じゃあ、俺の演技も満更でもないんだ。」
「凌が君のそんな所を知ったら、驚くだろうね。」
「どうだろ?
 でも、分かってるんじゃないかな。俺、あの男の前だと自分を作らずに済むんだ。落ち着くっていうか休まるっていうか…」
「それで、キスしたの?」
 恭平はこちらを向いて、少し赤くなって言った。
「だから、してないって言ってるじゃない。」
僕はクスクス笑って、言った。
「分かってるよ、冗談だよ。確かに凌とは、付き合い長いもんね。」
「学生時代からだからね。」

 僕は、恭平が「学生時代から」と言った時、またもや何となくショックだった。



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