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◆青山恭平の事件簿◆
古刹殺人事件(4)-4
 力哉が言った。
「俺達、売れるまでは自炊でしたから。売れてきて忙しくなっても、健康のために、時間があれば作ってました。安なんて達人ですよ。」
「安、そうなのか?」
恭平に聞かれて、安は赤くなった。
「あ、俺ドラムですから、もし指とか切っても、ギターやピアノみたいに演奏に影響しないんで…」
 秀幸も言った。
「俺もそうっス、ヴォーカルだから。
 でも、MOTOKIだって、ベースだし東京生まれで親元にいたのに、俺達のために全国回ってたから、上手かったです。」
思いがけず「MOTOKI」の名前を聞いて、安、神谷が固まった。他の二人も黙ってしまった。


 少し経って、僕が言った。
「そうなのか。みんな、えらいね。」
続いて、月子も手を上げた。これには、全員度肝を抜かれた。恭平がクスクス笑いながら言った。
「月子、君は女性では珍しい法学部出で、400のバイクに乗って、空手二段で、男勝りなのかと思ってたら、料理も出来るのか。見直したよ。」
月子は頬をそめて、嬉しそうに笑った。


 恭平がクスッと笑った。
「じゃあ、みんな、光と相談して食事当番を決めてくれ。これだけの大人数じゃ、出前にしろ食べに行くにしろ大掛かりだし、第一、経済が保たないからね。」
「はい。」
「で、決まったら、少し早いがすぐに夕飯(ゆうめし)の準備にかかる。夕飯はおにぎり程度でいい。今夜動き回るかも知れないから、余り沢山は食べていられないからね。」
「はい。」
「じゃ、俺は部屋にいるから、何かあれば呼んでくれたまえ。」
「分かりました。」
恭平はそう言うと、自分の部屋に行った。

 恭平は、今までは一人で「署長」兼「捜査員」だったのに、急に助手が6人になり、警察署の刑事課並みになってしまって、指図も大変そうだ。事件よりもそちらで疲れそうで、僕は苦笑してしまった。


 当番は、先程恭平が班分けした時のをそのままに、二人ずつの組にした。じゃんけんで今夜は秀幸と安になったので、僕は久しぶりに暇な夕飯時になった。それで恭平の部屋に行き、ノックして、入った。
「恭平、」
恭平はベッドに寝転がって、頭の下で手を組んでいた。
「なんだ、光か。ノックするなんて珍しいな。」
僕は、ベッドの横にあるストゥール(丸椅子のようなもの)に座って、ベッドに両肘を乗せ、両の掌(てのひら)の上に顎を乗せた。


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