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◆青山恭平の事件簿◆
第6章 家系図-1
第6章 家系図


 僕達は食堂を出て、また恭平の部屋に行った。さっきまでは無かったソファが用意されていた。恭平は自分の椅子に座り、凌と僕はそのソファに座った。

「凌、美味しかったね。僕はフレンチは久しぶりだよ。」
「ええ、私もです。姉の結婚式以来です。」
「情けないな、凌。デートで行ったりしないのか。」
 恭平が少しからかう口調で言った。
「相手がいませんからね。」
凌もクスッと笑って言った。

「ねえ、恭平。君は子供の頃から結婚するまで、ずーっとあんな食事だったの?」
 恭平はたばこを出した。
「…と、成澤さん、さすがに灰皿は用意してくれてなかったか。
 あ、いや、夕食と日曜だけだよ。」
僕は呆れて言った。
「十分だよ!それじゃ、僕は君が不幸だったなんて、もう認めてやらないからね。僕の方がよっぽど不幸だよ。食事はいつも祖母と二人きりでさ。その祖母も、僕が中学2年の時に亡くなったから、その後、僕はずーっと一人だったもの。」

 恭平は諦めて、たばこをしまいながら言った。

「え、ちょっと待てよ。『あんな』って、食事の種類じゃなくて、雰囲気のことか?」
「うん。裕紀さんて、もっと寡黙かと思ってたけど結構話されるし、恭清お父さんだって、君は『頑固親父』って言ってたけど、お優しいし。聞きたいことも言いたいことも婉曲で紳士でいらっしゃるし、最高じゃないか。」
「…」
「…」
「え、どうしたの?」
「いや、昔は親父は忙しくて、家で食事したことなんて殆どなかったよ。いつも母と三人だけだったし、母が亡くなった後は成澤さんが一緒だったけどさ。
 親父と食事したのは、記憶の限り、凌が来た10年前に一度きりだよ。
 な、凌。」
「ええ、私もそう聞いてました。」
「あとは、この前、俺が来た時だ。」
「それに光さん、この前も言いましたが、私が10年近く前に来た時は、お父さんも裕紀さんも、樹海よりも静かでしたよ。」
「あ、そういえば、凌、そんなこと言ってたっけ。」
「今日の親父と兄貴、おかしいよ。
 おかしいっていうかさ、あんなに喋るとこ、俺、生まれて初めて見たよ。況してや食事中なんてさ。どうしたんだろ?」
「青山さん、きっと、光さんのお陰ですよ。」
「光の?」

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