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◆青山恭平の事件簿◆
占い師VS青山恭平(5)-2
 僕は何とか自分の印象を軌道修正したくて、色々と考えながら食事していた。なんかこのままだと、僕といると恭平が駄目になるとか、助手をやめてくれとか言われそうで、怖かった。

 でも、今日で会うのはもう3回目だし、頭の良い方だから、色々と分かっちゃってんだろうな…


 そんなことを考えながら食べていたら、裕紀さんに不意に呼ばれた。
「芥川さん、」
「は、はい。」
「『幸福な犬』には『就職浪人』って書いてありましたが、その後、どこかに勤められたんですか?」
「あ…ええ、知人の紹介で、週に何度か病院で外来の診療を…」
「そうですか。
 実は、先ほど父とも話していたのですが、あなたはうちの病院に来て下さるおつもりはありませんか?」
「え、僕がですか?」
「あなたのような方がいらっしゃると、雰囲気が変わっていいと思いましてね。」
恭平が焦って、急に口を出してきた。
「兄さん、それ、困ります。」
裕紀さんは、クスクス笑って言った。
「恭平君、何を大声出しているんですか、君らしくもないですね。」
「ですが、光は俺の助手だし…」
「君が決めることではないんじゃありませんか。」
「それは、そうですが…」

 恭平は明らかに嫌がっていた。それはそうだろう、昨夜も今朝も、ここに来ることをあんなに嫌がっていたのだから。その理由はただ一つ、僕を自分の肉親や知り合いに会わせたくないということだけである。僕は恭平をチラッと見た。断れ、と盛んに目で合図してくる。僕は何となく癇に障った。

「あの、即答しなければ駄目ですか?」
「いえ。よその病院で働いていらっしゃるのなら、そちらとの兼ね合いもあるでしょうから、ゆっくり相談して下さい。」
「では、明日病院に電話して、相談してみます。」

 僕は単純に、悪く思われているかも、嫌われているかも、助手を辞めろと言われるかも、と思っていた裕紀さんからの思いがけないオファーが嬉しかったのだ。

 第一、あのお方のお近くで働けるなんて嬉しいし、出来ることなら、病院のお仕事から解放してお好きな学問を心行くまでさせて差し上げたい、と思っていたからである。

 だが恭平は、もろ「嘘だろ」という顔をしていた。


 この話が出た後、僕は急に心が軽くなって、食事もどんどん入るようになった。スープも魚料理もデザートも綺麗に食べてしまった。

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