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◆青山恭平の事件簿◆
占い師VS青山恭平(4)-3
 その部屋は30畳くらいあって、法事とか余裕で出来そうだ。仏壇には、一抱えもありそうな生花が一対、両側にあり、沢山の位牌が並んでいる。
 中央に、一際大きくて観音開きの扉まで付いている位牌があり、その右隣に、長い戒名の中に「裕」の文字が入っている位牌がある。恐らく、恭平のお母さんのものだろう。

 その他、水、燭台、線香立て、お供え、過去帳等、仏壇につき物の備品があり、毎日ちゃんと手入れされているのが一目で分かる。

 良く見ると、仏壇の下方に引き出しがいくつかあった。恭平はその中の一つをあけ、巻物を取り出した。

「あった。これだよ。」
「凄いな。まるで時代劇だね。」
「本当ですね。」
「さあ、これをコピーして、またここに戻さなきゃ。」
「何をしているんですか?」

 急に扉が開き、裕紀さんが立っていた。

「あ、兄さん。いえ、久しぶりに、母さんに挨拶をと思って…」
 恭平が上手く誤魔化した。
「そうですか。それは感心ですね。
 恭平君はお盆やお彼岸に、ちゃんと菩提寺に行っていますか?」
「あ、いえ、その…」
「君はうちにも帰ってこないんですから、ちゃんとお墓参りくらい行かなければ。」
「はい、分かっています。」
「じゃ、終わったら、ちゃんと蝋燭の火は消して下さいね。」
「分かりました。」
裕紀さんは出ていかれた。


 祖母はいつも、「お墓参りは、行くと言ったら行かなきゃ駄目だ。ご先祖様が待ってらっしゃるから」と言っていた。だから僕達は、口に出した以上、蝋燭に火を灯し、線香を立てて、お参りした。僕は恭平が、司法試験に受かるように、家族とちゃんとまともに話が出来るように、ちゃんと結婚出来るように、一心不乱に祈った。

 しまった。もう20分経っている。残り40分で、コピーを取り、家系図を戻さなければ!

 僕達は蝋燭を消し、電気を消して、その部屋を出た。



 廊下で会ったメイドさんの一人に「庭にいるから」と成澤さんに伝えるように伝言して、僕達は玄関から外に出た。


「焦りましたね。裕紀さんって、いつどこでお会いしても、怖いですね。」
「おい、凌。俺の兄貴に、それ、言い過ぎだぞ。」
「あ、すいません、ブラコン先輩。」

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