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◆青山恭平の事件簿◆
第4章 恭平の青春-1
第4章 恭平の青春


 二人が出ていって、応接間には僕達三人だけが残った。しばらく、誰も口をきかなかった。僕は、何だか恭平にとても申し訳なくなった。

「ごめん、恭平。家系図見にいこうとか言って…結局、嫌な思いさせちゃったね。」
 恭平はまだしばらく無言だった。凌も黙っていた。

 先に凌が口を開いた。
「いやはや、物凄い威圧感でした。青山さん、こういう中で育ったんですね。」
「今でも怖いんだから、これが子供だったら、もっと怖いよね。」
「でも、光さん、凄いですね、沢山お話しされて。その上、あのお父さんに抗議までされて。私は、一言も出なかったです。」
僕は赤くなった。
「いや、僕だって、何言ってるのか、自分でも途中で分かんなくなっちゃってさ。馬鹿だって思われただろうな…」
恭平は黙ったきりだった。

 少し経って、やっと口を開いた。
「光、すまない。俺、一言も言えなくてさ…呆れただろ。」
「いや、恭平、あれじゃしょうがないよ。僕も、お父さんにじーっと見られてるし、『そういう関係か』って聞かれて、怖くて、そうじゃないのになかなか返事出来なかったよ。」
「本当にすまん。情けなく思っただろ、俺のこと…」
「別に。普通の人なら、多分ビビッて何も言えないのかも知れないね。
 ほら、僕はKYだから、言いたいことは絶対言うし聞きたいことは聞く。馬鹿なんだろうね、やっぱ。」
「いえ、違うと思います。やっぱり愛情の問題ですよ。青山さんのためだからこそ、あれだけ仰れたんでしょう。」
「ちょっ、凌、まずいよ、壁に耳有りだよ。」
「いえ、変な意味じゃなくて。
 ご自分のためだけだったら、光さんは多分我慢されたんじゃないですか。光さんは正義感がお強いですから、青山さんのために頑張ったんでしょう。」

 恭平が力なく言った。
「俺、親父と兄貴にジーと見られててさ、『そういう関係か』って言われた時、全身、血が凍ったよ。ああいうことって、本当にあるんだな。参った。」
「だから『トラウマ』って怖いんだよ。心が一瞬にして、子供…その当時…に戻っちゃうんだ。すると体が動かなくなっちゃうんだよ。仕方ないさ。」
恭平は、また黙ってしまった。
「ほら、恭平、早くしよう。食事まで1時間って言ってただろ。その間に、何とかしなきゃ。コピー、あるかい?」
「病院になら…」

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