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◆青山恭平の事件簿◆
占い師VS青山恭平(3)-5
 僕は沈黙に耐えかねて、弱々しく答えた。
「はい、僕のことです。」

 裕紀さんが困ったという顔をした。恭平は益々真っ赤になって、下を向いている。

 恭清氏が不安そうに、また聞いてきた。
「あの…そういうご関係ですか?」

 僕は焦った。

 おい、恭平、何とか言ってくれよ!何で黙ってるのさ?

 僕は真っ赤になりながらも、懸命に弁解した。
「いえ、違います。『同棲』じゃなくて、『同居』です。一緒に同じ仕事をしているので、と申しますか、僕は恭平さんの助手なので、押しかけ同居したんです。」

 裕紀さんは、ハチさんからどういう風に聞いていたのかは知らないが、幾分ホッとしたようだった。

 恭清氏は、まだ訝(いぶか)しげな顔をしていた。
「押しかけ同居?」
「はい。」
「芥川さんは確か、東大の医学部ですよね。」
「はい。」
「それで、なぜ、恭平の助手に?ジャンルが違うでしょう?」

 もう、恭平、何とか言ってくれよ。この威圧感、僕には耐えられないよ?適当に答えて誤魔化しちゃうよ?

「ええ。ですが僕は、近々、法医学に進みたいのです。ですから、恭平さんの助手をしていると勉強になりますし、恭平さんもある国家試験を目指しているので、一緒に住んだ方が、食事とか雑用とか、無駄がなくていいんです。」
「国家試験ですか?恭平が?」
「はい。」

 これには、凌も驚いたようだ。恭平も、何で言っちゃうんだよ、という顔をしていた。

「恭平、本当か?」
 恭平はようやく顔が元に戻って、視線をあげた。
「はい、お父さん。」
「何の試験だ?」
「あ、司法試験です。」
「司法試験?ですが、恭平君、もう新司法試験になっているのではないんですか?」
「いえ、兄さん。新司法試験も始まっているのですが、2010年までは、僕みたいなのも受けられるんです。」
「そうですか。」
「だが、君は、ずーっと道楽してて、全然勉強していないだろう。大丈夫なのか?」
「はい。」
「まあ、取り敢えず、頑張りなさい。君も、いつかは人の親になる。その時、子供に誇れるような人間になれ。いつまでもハンパでいるんじゃない。」
「はい、すみません。」

 なんと、さっきから、恭平が全然、恭平ではない。どうやら恭平は、自分のこういう姿を僕や凌に見せたくなくて、それで、あれほど来るのを嫌がっていたようである。僕は恭平に対して、何だか申し訳なくなってきた。

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