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◆青山恭平の事件簿◆
占い師VS青山恭平(3)-2
 成澤さんと言われた女性は、懐かしそうに、今にも泣きそうな声で言った。僕達は準備されてあったスリッパを履いた。

 玄関から入ると、左右に廊下が広がり、正面に階段があった。
「さあ、こちらにどうぞ。」

 僕は、今まで恭平関係の人々に会うと大抵されていたこと、ジロジロ見られること、をこの成澤さんにはされなかった。

 成澤さんは、左、つまり西に曲がって一つ目の部屋に僕達を通した。応接間だった。
「どうぞ、こちらに。
 恭平坊ちゃま、ご紹介下さいませ。」

 恭平は額に手を当てて、困っていた。

「あの、成澤さん、その『恭平坊ちゃま』はやめようよ。俺、じき、30だぜ。兄貴は『裕紀さん』じゃないか。」
「私にとって、恭平坊ちゃまは恭平坊ちゃまです。
 あと、『裕紀様』です、『裕紀さん』じゃございません。
 それから、『俺』、『兄貴』等という下品な言葉はおやめ下さい。」
「はいはい。」
「『はい』は一度です。」
「はい。」
「では、ご紹介お願いします。」
「あ、彼はお…僕の助手兼友人の芥川君。こっちの彼はあなたも知ってるでしょう、大学の後輩で、今は警視庁の小石川君。
 光、うちの執事の成澤さんだ。」
「どうぞ宜しく。」
「宜しくお願い致します。
 ところで恭平坊ちゃま、先日は、たまたま私の公休日にいらしたとか。お会いしとうございました。あの、失礼ですが、こちらの芥川さんは、恭平坊ちゃまの前の奥様のご兄弟かご親戚の方ですか?」

 やっぱり来たか…!

「いや、違うよ。」
「そうでございますか。
 では、こちらでしばらくお待ち下さいませ。今、お父様と裕紀様をお呼びしてきます。」
「いや、いいよ、成澤さん!すぐに用事済ませて、帰るから。」
「何を仰います。久しぶりに恭平坊ちゃまが見えたのに、このままお帰ししたら、私が後で叱られます。」
「あ、あの…」
 成澤さんは出ていった。

 僕は呆気(あっけ)にとられてしまった。

「凄いね、恭平。僕等とは住む世界が違うよ。」
「そうですね。あんな教育係がいらっしゃるから、青山さんはどこか上品なんですね。」
「よしてくれよ。四六時中、ああなんだぞ。子供の頃、友達を連れてこようものなら、大変だったよ。彼女、お茶大の家政学科出ててさ。何でも、科学的に、理論的に言うんだよ。他人の子も平気で叱るしね。」
「確かに、ちょっと怖いね。」

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