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◆青山恭平の事件簿◆
占い師VS青山恭平(2)-2
 9時近くになった。

 僕はとうに着替え終わっていた。だが恭平は、まだ着替えようとしない。
「ねえ、恭平。いい加減に着替えなよ。凌、来ちゃうよ。」

 なんと驚いたことに、恭平はその場で土下座をした。僕は焦った。

「ど…どうしたの、恭平?」
「光、頼む、この通りだ。」
「何が?ちょっと、やめてくれよ、頭上げてくれよ。」
「今日、品川に行くのは、勘弁してくれ!」
「なんだよ。だって昨日、約束したじゃないか。反故(ほご)にする気?」
「だから、こうやって頼んでるんじゃないか。」
「なんで、駄目なの?」
「なんでも、駄目なんだ。」
「青山さん、何やってるんですか?」

 そこに、凌が来た。

「あ、凌。ごめん。ご覧の通り、恭平、まだ着替えてないんだよ。」
 凌は、初めは驚いていたが、すぐにニヤニヤしだした。
「青山さん、何、土下座なんかしてるんですか?さては、浮気が光さんにバレましたね。」
「うるさいっ、凌、邪魔すんな。俺は今、光に真剣に頼んでるところなんだ。」
「まあ、いいから恭平、取り敢えず頭を上げてよ。」


 僕は恭平を立たせて自分のソファに座らせた。僕達も座った。
「まず、理由を言ってよ。」
「理由は一つ。君を家族に見られたくない。」
「失敬だな。なんでさ?」
「だって、100パー、誤解されるだろ?」
僕は嘯(うそぶ)いてやった。
「何を?」
「君も大概(たいがい)、意地悪だな。」
「お陰様で。恭平に鍛えられたからね。」
「まあ、そういう訳だから、ね!!」
恭平は、今度は両手を合わせてきた。
「駄ー目!」
「じゃあ、こうしよう。俺が一人で行って、見てくる。」
「そんなこと、信用出来っこないだろ。
 第一、恭平。君には大きな誤算がある。」
「何が?」
「僕はもう、既に裕紀さんに会ってる。」
「そうなんだよなー
 …兄貴、どう思ったかな…」
「兄貴、兄貴ってなんだい。いい歳して、ブラコンなんだから。」
「あ、そういう言い方はないだろ、光。」
「そりゃ、裕紀さんは立派な人だけどね、誰かさんと違って。」
「今日は絡むなあ、光。」


 実際僕は、買って貰ったばかりのおもちゃを取り上げられた子供のように、拗(す)ねていた。恭平の気持ちは分かるが、彼が僕を恥ずかしがっていることが、まるで僕を日陰者扱いしているような気がして、なぜだか分からないが腹が立っていたのである。

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