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◆青山恭平の事件簿◆
第2章 恭平の苦悩-1
第2章 恭平の苦悩


 明くる朝、日曜だというのに、僕は7時に起きた。キッチンで上機嫌で朝食の準備をしていると、恭平が一人で起きてきた。

「おはよう、恭平。約束通りちゃんと起きてくるなんて、えらいね。」
「おはよう、光…」

 恭平は目に見えて元気がなかった。僕はすぐにそう気づいたし、理由も分かったが、敢えて気づかない振りをした。

 僕はダイニング・テーブルに皿を並べながら言った。
「さあ恭平、すぐ朝食になるから、顔洗ってきて。」

 恭平はがっくりと肩を落として、洗面所に行った。僕はおかしくて、一人でクスクス笑っていた。

 朝食の時も、新聞を読みながら食べるのは作った人間に対して失礼だし下品だから、僕は好きではないのだが、今日は大目にみてやった。



 二人とも早く起き過ぎて、8時にはすることも全部終わってしまった。あとは着替えるだけである。しかし、恭平は一向に着替える様子もなく、リビングのソファで新聞を読む素振りをしている。実際には読んでいないのが、それが昨日の新聞だということで分かる。


「ねえ、恭平、どっちのスーツがいいと思う?」
「どっちもカッコいいよ。」
「なんだよ、見てないじゃないか。」
「別にデートに行く訳じゃないだろ。」
「でも、あんまり変な格好で行けないよ。もしかしたら、お父さんに会うかも知れないじゃないか…あーっ!!」
 恭平が驚いてこっちを向いた。
「光、どうした?」
「あのさ…自己紹介、どうしよう?」
「自己紹介?」
「名前…『あきら』だって、バレちゃう。」
「名字だけで、名前言わなきゃいいじゃん。」
「いや、恭平は多分、無意識に僕のことを『あきら』って呼んじゃうかも。そしたら、『え、ウサギも一緒ですか』って、お父さんに言われちゃうよ。」
「だな。」
「だなって…」

 結局僕は、自分で一番お気に入りの三つ揃いのスーツにした。

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