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◆青山恭平の事件簿◆
占い師VS青山恭平(1)-2
「絵梨架さんですか。わかりました。あの、もう宜しいですか。」
恭平はこう言って立ち上がりかかった。
「ええ。
 ですが、いいですか、言うことを聴くんですよ。」
「はい、ありがとうございました。」
恭平は、この辺はいいところのお坊ちゃんらしく、ちゃんと丁寧にお礼を言って、辞した。


 この3人で私用で出かける時は、大抵は僕が運転する。パーキングで後部座席に乗ると、恭平はそ知らぬ顔でたばこに火をつけた。

 僕は、早く恭平に色々聞きたくてうずうずしていた。だが、なまじ今、中途半端に話しかけて、流されてしまってもつまらないので、事務所に帰ってからゆっくり聞くことにした。

 凌もそのつもりらしく、練馬の駅に着いても降りようとはしなかった。僕達はマンションの裏のパーキングに車を停めて、裏階段から部屋に上がっていった。


 部屋に上がると、僕はキッチンで手早くお茶を入れ、リビングに戻ってきた。

 恭平はポケットからシガレット・ケースを出すと、一本取り出して、徐(おもむろ)に吸いだした。最近はどこもかしこも禁煙なので、ゆっくり吸える場所は事務所か車の中くらいしかない。

 僕はお茶を各々の前に置いてから、興奮気味に言った。
「ねえ、凄かったね、さっきの占い師。」
「そうですね。私は占いなんか今まで信じなかったのですが、ちょっと寒くなりましたよ。」
「僕もだよ。
 恭平は?」
「え、何が?」
「だから、占いだよ。さっき、ピッタリ当たったじゃないか。」
「あんなの、俺が青山恭平だって知ってて、『封印を解くもの』だっけ、君の本?あれを読んだ人なら、誰だって言えるさ。」
「あの、恭平…」
「ん?」
「あの本、君や君の家のプライベートに差障りがあるかも知れないからって、ゲラ刷りで止まってて、一昨日やっとOK出したとこじゃないか。覚えてるだろ?」
「あれ、そうだっけ?出してなかったんだっけ。」
「これだよ、全く。だから、僕も凌も驚いてるんじゃないか。」
「そうかい?
 でも俺達、男3人で歩いてて、いつも俺だけ年いってるように思われるじゃない。それでだよ。」
「何が、『それで』なのさ?じゃあ離婚のことは?お母さんのことは?」
「そんなの、当てずっぽうで、偶然当たったんだよ。」
「二度あったら最早(もはや)偶然ではないって、君の口癖だよ。」


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