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◆青山恭平の事件簿◆
占い師VS青山恭平 第1章 占い師登場-1
第1章 占い師登場

「そこのあなた、」
「え?」
「あなたです、あなた。背の高い…」
「え、俺?」
「見てあげます。座りなさい。」
「いえ、いいですよ、俺は…」
「いいから。御代は要らないから。」
「先輩、折角だから見て貰ったらいいですよ。」
「そうだよ、たまには面白いよ。」


 その日、僕達は、半年前の「幸福な犬」事件と、半月前の「ヘビメタ事件」との2つの件で貢献したということで表彰されて、凌と一緒に練馬中央署に行っていた。夕食に、練馬から2駅上った江古田の駅前の、美味しくて特盛で評判の喫茶店に食べにいって、その帰り道でのことである。店からパーキングに戻る途中の路地にさしかかった時、傍らに座っていた女の占い師が、不意に声をかけてきたのだった。

 その女占い師は、40代から50代にかけてくらいで、紫の衣装をまとった、大柄の、顔の下半分はベールで覆われているが、とても綺麗な感じの人だった。

 恭平は嫌がっていたが、凌も僕も何か面白そうで、つい調子に乗って、恭平を占い師の前の椅子に座らせた。

「あなた、女難の相が出てますよ。」
「じょなんのそう?」
「ええ。あなた、離婚しましたね。」

 凌と僕は驚いた。恭平はさほどでもなかった。

「あなたは、お母さんを亡くしていますね。」

 僕達はまた驚いた。が、恭平はやはり、そうでもなかった。

「あなただけではない、あなたの家に、女難の相があります。あなたの家は、女が立たない家系なのです。」
「女が立たない家系?」
 恭平が聞き返した。
「そうです。その相が消えない限り、あなたの家には女性は入れません。」
「ですが…」
恭平がまた言った。
「『女難の相』とは、『男性が女性に好かれることによって身に受ける災難』のことですよね。仰っていることに、矛盾がありませんか。」
「詳しいことをあなたがご存知じゃないのは、仕方のないことです。一度家に帰られて、家系図を調べられるといいでしょう。」
恭平は黙っていた。
「それと…今、苦しい恋をしていらっしゃいますね。」

 この言葉に僕達は驚いた。だが更に驚いたのは、恭平がこの言葉を否定しなかったことである。

 恭平は聞いた。
「失礼ですが、あなたのお名前は何て仰るのですか?」
「私ですか?私は『絵梨架(えりか)』と申します。」


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