[携帯モード] [URL送信]

◆青山恭平の事件簿◆
古刹殺人事件(3)-5


 その現場は墓の入口近辺で、北側全てを囲うように座居(ざい)の石仏が沢山ある。数えると24体あり、10メートルくらい奥の高い位置に、大きいのが一体だけ、恰(あたか)も他の者達を監視するが如く、鎮座している。

 あたりには高い木が幾本も植えてあり、見上げると、無数の枝々が入り交じって天井を成していた。そのため日光も余り入らず、真昼間(まっぴるま)でも少し暗い。恐らく春や夏には、生い茂る葉で空が見えないだろうと思われた。

 そんな中、二十余体の座位の石仏が、まるで会議でもしているように、その場所を三方からグルーッと囲っていた。

 これらの石仏はかなり昔からあるらしく、日光が直に当たりづらいことも手伝ってか、みんな苔むしていて、所々、かけたりヒビがはいったりしている。

 東西には数体ずつが向かい合っており、北側には十数体がずらーっと横に並び、中央に一際大きい石仏が、恐らく閻魔様だろうか、さながら会議の議長のように、こちらを睨んでいる。何もしていない僕でさえ怖いのに、こんな場所でよく人を殺せたものである。



 鑑識さんは所轄の方々らしい。僕の知らない方達だ。だが、することはいつもの本庁の方々と同じで、凶器の指紋やゲソコン(下足痕)を採ったりしている。今日は岸部署長が見えているから、仕事も張りが出ようというものだ。


 2時20分になった。南の方から石畳を歩く足音が聞こえてきた。光ヶ丘西署で一番若い河野刑事に先導されて、藤社(ふじこそ)先生のご到着だ。まだ鑑識さんがいるので、藤社先生はまっすぐこちらに来た。僕達は口々に挨拶した。
「こんにちは、藤社先生。」
先生は少し顔を綻(ほころ)ばせて挨拶を返してくれた。そして月子を見やった。
「あなたは?」
恭平が紹介した。
「新しく入りました助手で、みたらいと申します。」
「宜しくお願いします、御手洗です。」

[*前n][次n#]

25/176ページ


[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!