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◆青山恭平の事件簿◆
第3章 想定外な現場検証-1
第3章 想定外な現場検証



「結局、そうなるよね…」

 葛山君に事務所の鍵を預けて覆面パトで現場に向かうことになったが、警察車両は誰でも運転出来る訳ではない。だが、恭平は国家公安委員会認可の探偵なので、特別に運転出来る。しかも彼は、A級ライセンスまで持っている。だから葛山君がいない今、運転してくれればいいのに、混んでるから嫌だ、と面倒くさがっている。となると、凌しか運転する人間がいないのだ。

「あ、凌、僕は自分の車で行くよ。」
「あ、光さん、酷いです。もろ嫌がってますね、私の運転。」
「だって、凌、『人格と運転って反比例する』って言葉、あれって、正に君のためにあるんだもの。君は普段、人格者で紳士だからさ…」

 実際僕は、「ヘビメタ事件」以来、凌の運転にはビビッているのだ。勿論、下手なのではない。いや、寧ろ、めちゃくちゃ上手いのだろう。だが、上手すぎて、命がいくつあっても足りない思いを今までも結構している。

 ところが恭平が言った。
「いいから、乗れよ、光。折角、警視庁の警部様が運転して下さるんだぜ。俺達ゃ運命共同体だよ。」
僕もクスッと笑って言った。
「そうだね。日本にいながら、『ル・マン24時間耐久レース』を味わえるのも、一興だね。」
「なんですか、それ?もう、いつもいつも私が運転席に座るたびに、勘弁して下さいよ。お二人とも酷いです。」

 凌は気弱にそう言ったが、エンジンをかけるや否や、暖機もそこそこに千川通りに出て、いつものX字路を右に行き、目白通りを、ハリウッド映画のカーチェイスさながら、西へ、石神井方面へと吹っ飛ばした。お陰で、月曜の午後なのに、5分という信じられないようなタイムで現場の寺に着いた。1時50分である。


 その寺は大寿寺(たいじゅじ)といい、練馬区の高野台、例の長光寺橋公園から北に5分ほど歩いた所にある。町名の「高野台」は、勿論、和歌山県の高野山からきている。しかし、住居表示では同一または類似する町名はつけてはいけないのが基本的な決まりになっているそうで、足立区に高野町(こうやちょう、現在の西新井の一部)という地名が存在していたため、高野台は「こうやだい」ではなく「たかのだい」と訓読みにして区別したという。

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