[携帯モード] [URL送信]

◆青山恭平の事件簿◆
古刹殺人事件(2)-6
「へえ、そうなんだ。」
「ええ。」

 凌は、得意そうに続けた。

「国家公安委員会認可の探偵は、言うなれば、警察署の署長と捜査員とを全部お一人でやっていらっしゃる、という感じな訳です。
 署長といいますと、普通は最低警視か警視正ですから、青山さんは、私らキャリアと同じか、あるいはそれ以上の力がある、ということになるんです。それで、そういうことが出来るんです。
 ですから私は、学生時代からの繋がりでお付き合いさせて頂いているだけでも光栄ですし、一生ついていきたいと思っています。崇拝していますから。」
 恭平がクスッと笑って言った。
「おい、凌。いくら褒めても、うちの事務所は貧しいから、何にも出ないよ。」
「へえ、そうなんだ。恭平ってスケベの変態だけど、エラいんだ…」


 僕は、頭から血が一気にひくように感じていた。なぜなら僕は、恭平がそんなに凄いなんて、全然知らなかったからである。
 考えてみれば、警部の凌どころか警視の豊までが、恭平の言いなりである。それなのに僕は、偉そうに恭平の家族に「恭平のこと分かってない」とか言ってしまった。

 分かってないのは僕の方だったんだ…

 助手にだってこちらから無理に頼んでなった。その上、いくら恭平のためとはいえ、強引に引っ越してきてしまった。

 もしかしたら、僕はKYな上に、物凄く図々しい?

 恭平が「嫌だ」と言わないものだから、どうやら、いい気になって調子にのっていたようである。そんな僕の胸中を知ってか知らずか、恭平がニヤニヤして言った。
「光、スケベの変態ってのは、随分じゃないか。」

 実際僕は恭平に対して、余りにも身の程知らずなことを、言ったりしたりしてきたようだ。申し訳なさで、胸の中が一杯になった。

 でも僕は今更引っ込みがつかなくて、こんな言い方しか出来なかった。
「ごめんよ。じゃあこれからは、ブラコンの推理オタクって呼ぶよ。」


 それから僕は思いついたように言った。
「ねえ、恭平。だったらもう、司法試験なんか今更どうでもいいじゃないか。」
恭平が、またクスッと笑った。
「いや、『資格があっても使わなかったら無意味』って、雪子が言ったらしいからね。」
「何をいつまでも、雪子のことなんか言ってるのさ。」
「だってさ、」

[*前n][次n#]

18/176ページ


[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!