[通常モード] [URL送信]

◆青山恭平の事件簿◆
古刹殺人事件(2)-5
「塾をやめても、ですか?」
「うん。
 で、ほら、この事務所って女っ気がないだろ。凌、君も身にしみて分かったと思うけど、恭平は変態だから、それを治そうと僕が決めたんだ。」
 恭平がクスッと笑って言った。
「光、自分を棚に上げて、人を変態呼ばわりするなよ。」
「恭平!なんで僕が自分を棚に上げなきゃならないんだよ?失礼だな!」
「だって君って、元々黒田力哉が好きじゃない。それに凌のことも。」
「何それ?」

 馬鹿馬鹿しくて、僕は弁解する気も失せた。

 凌が、些か焦り気味に言った。
「あの、青山さん。まさか、その5人の助手の方達を、全員現場に連れていくお心算(つもり)じゃないですよね?」
僕が言った。
「いや、それはちょっと無理だろ、凌。いくら助手希望とはいえ、いきなり死体とか現場とか見たら、キツいよ。」
「あ、光さん、あの…」
「光、違うよ。基本的に、素人さんは現場に入れないんだよ。」
「え、だけど恭平、君は僕をいきなり連れていったじゃないか。」
「ええ、あれは青山さんが特別な計らいをして下さったんです。青山さんがあんなことなさるの、珍しいですよ。っていうか、初めてです。」

 僕は顔が少し紅潮するのを感じた。

「そうなの?」
「ええ。青山さんは国家公安委員会認可の探偵です。全国でも、五人もいないんですよ。」
「え、そんなに少ないんだ?」
 凌は急に笑顔になって、嬉しそうに恭平の自慢を始めた。
「ええ。しかも最年少でなられて、今でも勿論、最年少です。」
「ってことは、恭平のあと、誰もなっていないってこと?」
「そういうことですね。
 ほら、いつでもどこでも、『もっとお年の方かと思ったら、三十代後半くらいなんですね』ってよく言われるのは、そのためもあるんですよ。」
「そうなの?」
「ええ。二十代なんて、普通はあり得ませんから。」
 凌は言っていいものかどうか、少し言いよどんでいたが、思い切ったように言った。
「第一、助手の第一号の沢渡さんだって、年上でしたもの。」

 凌がいきなり沢渡さん名前を出したので、僕は恭平の反応が気になった。しかし、恭平は少し頬を赤らめたようだが、特には大丈夫だった。僕は、沢渡さんが恭平よりも年上とは思わなかったので、意外だった。

[*前n][次n#]

17/176ページ


[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!