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◆青山恭平の事件簿◆
第5章 手掛かり-1
第5章 手掛かり


 表に出ると、なるほど、まず最初の電柱に、チョークで三角形が矢印のように書かれていた。その三角形の向きが進行方向だ、と恭平が言った。
「今度はあっちだ。」

 恭平は、チョークの跡を一つ一つハンカチで軽く擦って消しながら、電柱を追って、三角形を追って、ラッキー目指して歩いた。僕も恭平に遅れないよう、息をきらせながら、頑張って歩いた。


 僕達は、駅前の大通りを渡った。流石にこの辺りは駅前なので、景色が高い。新宿副都心なみである。もう一本の、滑走路みたいにまっすぐで広い大通りを越えて、役所の右手に出た。そのまままっすぐ進み、小さな公園の角を左に折れた。

 公民館と学校との間を抜けて、小さな十字路を越えると、急に景色が変わって視界が低くなった。気がつくと、住所が「北」から「中」に変わっている。この辺りは一軒家が急に減って、アパートが密集していた。そのためかどうか、近くに、今では珍しい銭湯がある。駅から大通りを二本越えるとこれほど景色が変わるものか、といささか驚く。


 恭平は、新たに一つ三角形を消しながら、
「あそこだ。」
と言った。見ると、三角形が二つ書いてあり、先端が道路沿いの「コーポ如月」というアパートに向いていた。なるほど、案の定、住所は全く違うものだった。
「アパート住まいとは驚いたよ。光、アパートで犬を三匹も飼っていいものかね?」
「さあ?藤井氏は管理人かなんかなのかな?」
僕達は、そのアパートの中に入っていった。集合ポストに「藤井義男」の名前があった。
「いや、住人のようだね。行こう、光。ラッキー君に面会しよう。」

 僕らは、二人して藤井氏の部屋へ上がっていった。二階の一番奥の部屋だった。ノックすると、藤井氏が驚きの眼差しで僕達を迎えた。

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