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◆青山恭平の事件簿◆
幸福な犬(4)-3
 僕はこの時、恭平は確実な手がかりを手中に収めている、とはっきり感じた。ただ恭平のジンクスで、事件がすっかり解決するまで、彼は、手がかりとか推理の筋道とかを誰にも話したがらないのだ。

「ただ、俺の直感でそう思える。何か、必ず密接な繋がりがあるってね。」
「恭平、君の言うことを聞いていたら、僕もそんな気がしてきたよ。」
 恭平はクスっと笑って、テーブルの上のシガレット・ケースを手に取ると、上着の内ポケットにしまった。
 そして立ち上がって、言った。
「じゃ、行こうか。」
「行くって、どこへ?」
「今の藤井氏のお宅さ。」
「何しに?」
 僕のこの問いに、恭平は逆に聞き返した。
「君は、今度の事件の一番の手がかりは何だと思う、光?」
「一番の手がかりだって?…」

 僕は数分考えた。どうやら僕の頭は、医学者には向いていても推理人には向かないようで、こういう時に、恭平と僕との最大の違いがはっきりと現れてしまうのだ。僕は大抵答えられないか、もしくは答えても間違った。

「一番の…? んーっ、この7枚の写真かな?」
「それもある。
 だが、この場合、最も有力な手がかりは、何といってもラッキーという犬だろうね。」
「あ、そうか。」
「これから、その犬にお目にかかりに行く訳さ。」
「なる…」
「この依頼の書類の住所や電話が本当かどうかは、あまり当てにはならない。」
 恭平はクスッと笑った。
「俺のファンに誠という少年がいるんだが、彼が尾行してくれてる。あちこちの電柱に印がある筈だ、今頃。」

 恭平の自信にあふれた言動は、優柔不断な物言いの多い昨今、僕の耳に心地よく響いた。

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