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◆青山恭平の事件簿◆
第4章 遥かなる影-1
第4章 遥かなる影


 支配人達が出て行くと、恭平は僕の方に向き直って言った。
「どう思う、光?」
「どう…って?」
「今の話さ。」
「僕にはまだ解らないなあ。ワトスンとは違って、僕は君と知り合ってからまだ丸一日も経ってないから、君の推理の方法を充分には理解してないし。
 ま、理解していても、解るとは限らないけどね。」
僕は、ハリウッド映画に出てくる俳優のように大袈裟に肩を竦めて、苦笑しながら言った。

「ワトスンって誰?」
「えっ…」

 恭平の知識は物凄く極端で、法律全般、語学、数学、薬学などは専門家で、その上、医学の知識まであり、本職の僕が驚くほどである。だが、文学、芸能分野は、からきしなのだ。
「シャーロック・ホームズの友人だよ。」
「シャーロック・ホームズ?」
「おいおい、そこから?」

 僕は彼のことを詳しく話し出した。シャーロック・ホームズは頭のいい名探偵だということ。ワトスンは、そのホームズの親友で元軍医。怪事件の謎を追っていつもホームズと行動を共にし、彼の推理を助ける良き助手であり、また、ホームズが手がけた事件を詳しく記録し、後には出版する。ホームズの良き相談相手でもあるのだ、等など。

「なかなか頼もしい男だね、そのワトスン氏というのは。」
 僕は自分のことを褒められているような気がして、単純に嬉しくなった。

 その時、恭平が言った。
「光、君は確か、ワトスン氏志望だったね。」
「え?」
僕は胸中を見透かされたようで、思わず問い返してしまった。
「早速、駆けずり回るチャンスの到来だよ。」
「きょ…恭平、ホントかい?」
「ああ。
 今日は取り敢えず、試験的に、一緒に行動したまえ。」
「あ、ありがとう!」
僕は、僕のホームズの手を握り締めて、こう思った。

 君のためなら死ねる!



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