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◆青山恭平の事件簿◆
幸福な犬(3)-4
 殺された男は、下顎が出ていて、目は少したれているが目つきが鋭い。口元が僅かに微笑んでいるのは、この写真を撮られた段階では、まだセールスマンぶってニコニコしていたからだろうか。

 殺された男と一緒に来たのは、髪を無造作に分けて、濃い眉が大きな二重瞼にくっついて見えるほど彫が深く、目つきの鋭い、高い鼻をもった、かなり整った顔の男だった。こめかみから頬にかけて、うっすらとこけているのが、その風貌を、より際立たせていた。二人とも、とてもセールスマンには見えない。

 五人組のうちの一人は、短くカットされた金髪で、左側のこめかみの下辺りから頬にかけて、長い傷跡があった。年の頃、32〜3と思われる。

 五人組の二人目の男を見た時に、恭平の目がきらっと光った。
「ん?この男は…」
恭平は、その写真を取り上げて、僕の方を見た。
「光、君はこの男に見覚えがないかい?以前、ワイドショーなんかで似顔絵が出たことがあるんだが…」

 くっきりとした二重瞼に、形の良い眉と筋の通った高い鼻。骨ばった細い輪郭にきれいな口元。

「さあ…?随分きれいな男だな。誰だい?」
「絶対に、とは言い切れないが、そっくりだよ。うん、瓜二つだ、『HIMURO』に。」
「『HIMURO』だって?」
 僕は聞き返した。
「名前だけは聞いたことがあるよ。あの有名な宝石泥棒だろう、『怪盗HIMURO』?予告状とか出す…」
「ああ。奴は変装の名人でね。神出鬼没。」
「神出鬼没?」
「しっかし、警察庁保管の犯罪データベース以外で奴の写真を拝めるとは、驚きだよ。」
「え、そんなもんなの?」
「そんなもんだ。」

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