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◆青山恭平の事件簿◆
幸福な犬(3)-3
 賢そうな顔をしていない割には、良くまとまった話だった。恭平は初めのうちはニコニコしていたが、途中から真顔になって、じーっと上目使いで相手を見ながら聞いていた。

「その話は、いつのことです?」
 話が終わるや否や、恭平が聞いた。
「えっ…と、最初に男が来たのは…あ、丁度、一週間前です。」
 男は、ただでさえうすくて細いたれた眉を、更に八の字にして考えながら答えた。

 その日本人特有の目は、どこか、少し人を見下したような印象を与えた。髪は極最近理髪店に行ったらしく、きれいに切り揃えてある。三十代後半くらいだろうか、白髪は殆ど無い。背は僕よりも少し低かったから、170センチ前後か(因みに、僕は174センチである)。鼻は高からず低からず。一見紳士風には見えたが、良く見ると、量販店か何かの店長というような感じである。


「一週間前…というと、あの三日前に起きた殺人事件…私は経読新聞の夕刊で読みましたが、あの殺人と関係あるんですね。」
「ええ、そうです。」
「話が初めに戻りますが、犬が三匹で、シェパードとチワワと雑種ですね。何と何の雑種だか分かりますか?」
「いや、…子犬の頃、家内がその辺で拾ってきたんで…それも関係あるんですか?」
「いいえ、念のため聞いたまでです。
 ところで、初めにやって来た二人は布団のセールスマンだと言いましたね。あとの五人グループは、何の職業だか言いましたか?」
「それが、ただ犬を売れと言うだけで、何とも…」
「何時頃やって来たのですか。」
「そうですね。いつも、私が店を閉めて帰宅した直後ですから、…8時半っていうところでしょうかね。」
「どんな男達ですか?」
「そ、それなんですよ。あまり毎日しつこく来るんで、防犯カメラをつけたんです。プリントして、今日ここに持ってきました。7枚あります。」

 男は背広のポケットから袋を取り出すと、中の写真を、差し向かっている恭平の方へ向けてテーブルの上に並べた。

「これが殺された布団のセールスマンです。」
「なるほど、新聞のとおりだ。」

 藤井氏は、一枚一枚写真を説明した。僕もかたわらで見ていた。

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