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◆青山恭平の事件簿◆
幸福な犬(3)-2
「実は…あの、下らないことで実に申し訳ないんですけれど、私は家に犬を三匹飼ってるんです、家内が犬好きなもんでね。一匹は警察犬なんかによくいるシェパードで、もう一匹はチワワ。二匹とも血統書付きの凄い奴なんですよ。それからもう一匹は、これが問題なんですが、ただの雑種なんです。ここからが本題なんです。

 布団のセールスマンだという男が一人やって来て、この犬が欲しいと言うんですよ。最初に来た時は、生憎(あいにく)家内が留守だったもんで帰って貰ったんですがね、次の日の大体同じ時間くらい、夕方でしたか、またやって来まして、今度は家内もおりましたんで三人で話したんですが、何しろ家内は犬好きなもんで、また断ったんです、犬ならペットショップに行けばいくらもいるってね。その日は割とすんなり帰ってくれました。

 ところが三日目に、今度は二人してやって来たんです。そして、いくら金を積んでもいいからラッキーが欲しい…失礼その犬はラッキーっていうんですがね、ラッキーが欲しいって言うんですよ。それも、百万円出すって言うんです。

 これには流石に私どももマイりましてね。売ろうかな、なんて思ったんですが、その矢先にその布団のセールスマンは、誰かに殺されてしまったんです。私らは三日以内に返事するって言ってたんですが、二日目のことでした。

 その次の日、今度は別のグループが五人がかりでやって来て、犬を売るまで毎日でもやって来るって言うんです。

 私達は、ふるえ上がりました。どこへ行こうにも誰かに見られていそうで、かといって、犬を売っても、最早それではことがすまないような気もして…

 だってそうでしょう、青山恭平さん?人が一人、死んでるんですよ。警察へ行こうにも、どこに見張りの目が光ってるかも知れないし…もう、どうしたらいいか分かんなくなって。

 そしたら家内が、青山恭平さんにお願いしようって言ったので、こんな朝早く失礼だとは存じましたが、こうしてやって来た次第なんです。」

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