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◆青山恭平の事件簿◆
第3章 God bless my dog.-1
第3章 God bless my dog.


 エレベーターではなく、裏の非常階段を上がると、恭平の部屋の横に出た。エレベーターと階段との間にあって、実に便利な部屋である。

 恭平はドアの鍵穴に鍵を差し込んだ。
「はっ!」
鍵は開いていた。

 恭平は少し緊張した面持ちで、いきなりドアを開けて部屋に飛び込んだ。駆け込んだのではない。正に水面に飛び込むように、床に腹を伏せているのである。部屋の中では、一見紳士風の男が一人、ソファに腰をおろしていた。僕が部屋に入って何か言おうと思ったら、恭平はもう立ち上がっていて、胸の埃をはらっていた。
「いいんだ、光。この人は、どうやら事件の依頼にきたようだよ。」

 恭平は今度は膝の埃をはらって、にこにこしながらこう言った。しばらく暇だったので、相当喜んでいるようである。さっきの驚きようはどこへやら、である。

「そうなんですよ、青山さん。実は…
 あ、申し遅れました。藤井…私は藤井義男と申します。」
 男は立って自己紹介した。恭平は自分専用の肘掛ソファにすわって、言った。
「藤井さんですね、どうぞお掛け下さい。用件をお伺いしましょう。何なりとおっしゃって下さい。」
男は、ああ良かった、というような顔つきをした。

 藤井氏が僕の方をジロジロ見たので、僕は部屋を出ようとした。すると恭平が、部屋にいても構わないと合図したので、そのままソファの藤井氏の隣に座った。
「彼は私の友人で助手の芥川です。信用出来る男ですから、どうぞご安心を。」
「そうですか。」
藤井氏はそう言って大きく深呼吸したあと、およそ次のようなことを話し始めた。

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