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◆青山恭平の事件簿◆
幸福な犬(2)-4
 時計を見ると、もう8時近かった。
「ごめんよ。図々しく3時間もいたみたい。」
「あ、いいよ。今日は特には忙しくなかったから。」
「あのさ、」
僕は暗い顔をしている彼を励ますように、わざと、ニコッと笑った。
「月並みな言い方しか出来ないけど、彼は…沢渡さんは、君を庇ったこと、後悔していないと思うよ。」
「…」
恭平は僕の目をじっと見ていたが、何も言わなかった。
 僕はKYと思われるのは怖かったが、このまま一生会えないのも嫌なので、図々しくこう言った。
「明日、また来てもいいかな?」
僕は、「明日」来て、助手にして貰うよう頼み込むつもりだった。

 ホームズだって、その助手には医者のワトスンがついてるじゃないか。それなら、僕だって恭平について悪いって法はない。僕はこれでも、一応、東大の医学部を出てるんだ。

「ああ、すまない、不愉快な思いをさせてしまったね。」

 とんでもない!

 僕は、巷では「推理機械」と呼ばれている恭平の、人間的な一面を垣間見たような気がして、却って嬉しかったくらいなのだ。

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