灰色綺譚 迷いは消えてない 第一印象、変な人。 それが【ラビ】だった。 「あ…アレン。こちらは…?」 「え?あぁ。ラビです。」 「ラビって呼んでさ。オレのことJr.って呼ぶ奴もいるけど。お嬢ちゃんは誰?」 「わたくし不破と申します。Jr.」 にっこりアレンの隣で微笑む彼女は、俺が教団内で聞いた印象とは違くて… 儚げで礼儀正しい、人形のような華奢な少女だった。 ユウは、会えばわかると言っていたが…なるほど。 「ラビでいいさ。俺も春華って呼ばせてもらうし。」 「不破です。」 「…もしかして、ユウみたいにファーストネームで呼ばれるの嫌いなんさ?」 「春華は…ちょっと人見知り激しくて…ですね。リナリーもまだ春華って呼べてないんですよ。」 「そうなんさ?まぁ、よろしくさね、春華。」 握手を求めたが、遠慮しますの一言で終わった。 アレンが「怖くない人だから大丈夫ですよ!神田のが怖いですって!!」ってフォローしてる辺り、俺が特別嫌われたわけじゃなく、全員に同じ対応をしているらしいと予測できた。 「ユウかぁ。まぁ、会うのはしばらく先の話になるかもしんねェけどな。」 「どういうことですか?」 「んーーー、オレの予感だけどね。今度の任務は、かなり長期のデカイ戦になんじゃねーかな。伯爵が動き出したんだ。ノア一族の出現ってそういうことだろ。気ィーしめていかねーと…」 「僕は…アクマを破壊するためにエクソシストになったんだ。人間を殺すためになったんじゃない…」 「……」 アレンは、まだロードとの戦いの時の迷いが消えてない。 ロードの言葉に傷ついたままだ。 「……おい?どした?モヤシ」 「アレンです!!ちょっと歩いてくるんで先戻っててください!」 「あちゃ〜?やっぱ、ガキだ。」 「…どうしてくれるんですか、Jr.」 [*黒白][銀灰#] [戻る] |