灰色綺譚 ダメなんかじゃない 私がダメな理由。 何やっても上手に出来ないくせに、やろうとするトコロ。 もう、やらないと決めたくせに、未練がましくまた、やろうとするトコロ。 どうせ何もできないなら、やらなきゃいいのにね。 春華ちゃん、貴女は「馬鹿よね…」と自嘲した私に言ったわ。 「誰がダメだと決めたの?ミランダ?なら、そんな考えするのはとても、もったいない事だわ。チャレンジ精神豊富で努力家なのよ、ミランダは。ちょっと不器用なだけで。もったいないわ」って。 「イノセンス…?」 何かの存在を感じた。 振り返れば時計があった。 私の呟きに、イノセンスが応えた。 「ミランダさん…」 「ミランダ!アレン!」 ミランダのイノセンスが稼動している空間に、私が駆け寄ると、アレンの時間が戻っていた。 「ア、アレンくん動けるの?」 「ミランダさん……そっか…適合者ですものね。」 「おめでとう、ミランダ。適合者としての覚醒が成功しましたね。アレン、リナリーを回収できますか?」 「できます、春華。」 リナリーを椅子ごと引き寄せた。 「生きてる……!」 「音波系アクマに攻撃されましたのね。でも、今の状態じゃカデュケウスは使えません。」 「そうですか…神経が麻痺してるのなら、下手にいじくれませんよね。」 いや、実際はこの空間にいるから使えないのだけど… 「アレンくん、春華ちゃん、リナリーちゃんは?」 「…大丈夫」 「心配しないで、ミランダ。この空間にいれば目覚めます。」 「あれ…私…?」 「リナリー!」 リナリーの手から飛び出たティムが、アレンの顔に激突した。 「何でそんなトコから…っ」ってティムに呆れている。 リナリーは状況把握に困っているので、簡単に状況を説明した。 「ミランダさんのイノセンスに助けられたんですよ。」 「え?わ、私…?私が…?春華ちゃんが言ってた、適合者としての覚醒って、このこと…?」 「そうです。あなたが発動したこのイノセンスが、攻撃を受けた僕らの時間を吸い出してくれたんです。ありがとう、ミランダさん!」 「ミランダ、ありがとうございます。アレン達を助けてくれて。」 笑顔でお礼を言った私達の言葉に、一筋の涙をミランダは流した。 リナリーが臨戦態勢に入ると、アレンも飛び出していった。 「円舞『霧風』!!!」 叫び悪態をつくアクマに、アレンは攻撃を仕掛けていく。 「へぇ〜。エクソシストって面白いねェ」 「勝負だロード」 [*黒白][銀灰#] [戻る] |