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灰色綺譚
未来を見つけた少年




-三日後-



ジャンのラボに機械音が鳴り響く。
ノックしても、うるさすぎて気付いてもらえない。




「何、作ってるんだい?」


「わっ、何だよ。勝手に部屋に入ってくんなよ!」


「だって、ノックしても気付かないんだもん」


「ジャンの反応がありませんでしたので、声を直接かけることにしたようですよ?」



ジャンが、入り口に居た私に「春華もおいでよ」というので入った。



「十字架…?」


「当座のレオの墓標だよ。あいつ今、家出人扱いで死んだこと誰も知らないし。いつかホントの、墓が立てられるようになるまではさ……………」



そっと、優しい微笑を浮かべるアレン。
それを、何となく観察している私。



「アレン達は、これからエクソシストの本部だっけ?」


「うん、ティムキャンピーがせかしている。そろそろホントに行かないと。」


「ティムはお仕事熱心なのねぇ…製作者に似ずに。」


「……春華…恐ろしいこと呟かないで下さい。」


「誰が作ったの?ソレ。」


「僕…の…師匠…です……。」


「オレも親父の所に行く。もっと勉強して、力をつけるよ。今のオレじゃダメだって、よくわかった。」



決心したジャンは、以前よりずっと強くなったと思うわ。
君は、アクマと願った者の《ココロ》を知ったから。



「ジャン、哀しみから逃げない人間はね、無力なんかじゃない、強いのよ。だから、頑張ってね。」


「春華のおかげだよ。オレ、まさか春華にあそこまでスパスパ言われるとは思わなかったけど、目指すべき道標を見た気がしたよ。ありがとう、春華。いつか、迎えに行くから!」


「え?春華は何をジャンに言ったんですか?というか、ジャン!君は何を言ってるの?!」



春華に対して、かなり打ち解けたような感じのジャンが、とんでもない事を言い放った。



「ん?アレンにはヒミツだよ。オレと春華の会話だから!」


「ちょ、春華?!何を約束したんですか?!」


「約束?何のですか?」




何だかわからないけど、春華がジャンと何かの約束をしてしまったようだ。
けれど、当の本人がよくわかっていない。
何を聞いてるのと、その表情と言動が語っている。



「迎えに行くって、さっきジャンが言いましたよ?!とぼけないでください!!」


「…ジャン、アレンにそんなに会いたいのですか?」


「「は?!」」


「ジャンが科学者として、黒の教団の総本部の科学班に入れれば、アレンに会えますよ。」



春華は、訳がわからないというように僕の名前を言った。

僕に会いたいのなら、教団の総本部の科学班に入れば良いと言っている時点で、ジャンのいった意味には気付いていない。



「春華も?」


「え?えぇ、私も多分いますよ。エクソシストとしてですが。」


「春華?多分って何ですか、多分いますって。何処に行く気ですか、春華?」


「アレンに嫌われない限り…だから、多分でしょ?アレン次第ですし。」



ちょ、春華?!
何、可愛いこと言っちゃってるんですか?!
僕次第なんですか?
なら、ずっと一緒に決まっているじゃないですか!!



「なら、ジャン。春華は、【ずっと僕と一緒にいます】から、安心して教団までどうぞ。」


「アレン、何でソコを妙に強調するの?ねぇ、春華。年は近い方が良いよね?」


「え?」


「ジャン、春華に聞いてもムダだよ。さっき、僕の名前を言ってる時点でジャンの言った意味の方を気付いてないもん。」


「だよね。」




そのが二人は、お互い頑張ろうと、拳を合わせていた。




これから、黒の教団総本部に向かうことになる。


伯爵の言った通り、ほんの序章。


これからスタートラインに立つのだから。










END

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[*黒白][銀灰#]

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