灰色綺譚 雨と共に流れてしまえ -Heroine Side- 雨が降り注ぐ。 クロスの好きな天気だと、アニタが空を見上げていた。 「船を停止。アクマとエクソシスト様方を甲板に呼んで頂戴。」 揺らぐ意識の端で、今後の展開を考えていた。 まだ、ヴァーチュースは稼動している。 だから、私が頑張れば彼らの命は繋げる事ができる。 でも、そうすると私は動けなくなってみんなを守れない。 私は、動けなかったせいでラビに抱きかかえられていた。 クロウリーとラビが、船員達がいないことに気が付いた。 リナリーもハッとしたように「まさか…っ」と呟いた。 「ごめんなさい。船員らには見送りは不要だと伝えました。今は船内で宴会して騒いでます。どうかお許しください。最後の時を、各々の思うように過ごさせてやりたかったのです。」 「生き残ったのは…あなた方だけなんですか…?!」 「……っ!!」 リナリーとミランダが泣いている。 やっぱ、助けなきゃ。 助けなきゃ、後悔する。 アレンは、絶対に助けると思うから… 「良いのです。」 「!」 アニタは言った。 「私達は皆、アクマに家族を殺されサポーターになった。復讐の中でしか生きれなくなった人間なのですから。我ら同志、誰ひとり後悔はしていません。」 「江戸へ進むと、我らがつくった道を引き返さないと、あなた方は言ってくださった。それがとても嬉しいです。」 アニタも、マホジャも後悔してないという。 本当に? それが本心? 《勝ってくださいエクソシスト様!!!》 《我らの分まで!!》 《進んでいってください!!!》 《先へ!》 「拡声器から………?!」 《我らの命を未来へつなげてください!!!》 「船員さん達だわ…っ」 「みんな…」 《生き残った我らの仲間を守ってください………》 「!!」 「あいつら何を…っ」 《生きて欲しいです!!》 《平和な…未来で我らの同志が少しでも…生きて欲しい…っ》 《勝ってくださいエクソシスト様!!!》 「じじい…キツいさ…」 呆然と呟くラビの声が聞こえる この後、ちょめ助が伊豆まで私たちを運ぶ その前に、やらなくちゃ…っ [*黒白][銀灰#] [戻る] |