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灰色綺譚
死者の時間は戻せない3










皆の心配をよそに、ミランダは大丈夫だと言う。

そういえば、ミランダは春華の死を聞いたのだろうか?



「あ、ミランダ。春華のコト聞いたさ?」


「え?えぇ、亡くなったとウォンさんから聞きました。私の、師匠だったんですけどね、いまだに死んだなんて信じられないんです。」



ミランダは、死んだことが信じれないと言っていた。

やはり、信じれないと思う人間の方が多いと思う。

しかも、師弟関係だったんさ?



「え?春華はミランダの師匠だったんさ?!」


「えぇ、色々と教わりました。私の命の恩人でもあるし、私に道標を作ってくれた大事な人です。今でもまた、ふらりと現れてくれるような気がして…。」



確かに、いつも神出鬼没で、助けてくれた。

アレン大好きで、愛してるって普通に言っちゃう素直で純粋な愛しい子。



「皆さん、春華様の事をとても大事に思っているんですね。…ミランダさん、この航海が終わったら、この十字架を持っていかれますか?春華様から渡されたものなんですけど…」



ミランダが、その十字架を見た瞬間に目を見開いた。

震える声で、アニタに聞く。



「…え?ちょっと…それ…見せて頂いてもいいですか…?」



それを、受け取って確認いた後、いきなりミランダ泣き崩れ震えていた。



「え?どうしたんさ、ミランダ?!」


「生きてます!!春華ちゃん、生きてます!!!」


「「「「「「ホント?!」」」」」」



全員が、信じられないとでも言うように聞き返した。

心肺停止したと、ウォンから確認済みだと言われたのだから。

だがミランダが、泣き崩れながらも説明してくれた。



「はい、生きています…春華ちゃん。だってコレ、春華ちゃんのイノセンスだもの。発動し続けているってことは、生きているってことでしょう?」



失念していた。

確かに春華は、【ヴァーチュースの十字架】を配っていた。

死んでしまったと聞いて、忘れていた。

確認すればよかったんだ。



「なら、エクソシストととして小僧も復活するな。ハル嬢は決して諦めぬ。」



希望を見出した。


俺はもう一度、あの愛しい春華に逢える。

なら、今は俺が出来ることを精一杯しようと思う。

春華は、【みんなで生き残る】ことを望んでいるから。











[*黒白][銀灰#]

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