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灰色綺譚
死者の時間は戻せない2
-Miranda&Lavi Side-










「「コイツが割りました」」


ジジイとクロちゃんに指を指された。


(ビクッ…)



「お前ら…っ」



指を鳴らしながら近づいてくるマホジャは、本気で怖い。



「ごめんなさい」


「あ?」


「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」


「だ、大丈夫ですよ!ホラ窓を見て」


「この人コワイさ〜」


ミランダに縋りつくと、マホジャに言ってくれた。


「?!」


そうこう言っているうちに、船は元の綺麗な状態に戻った。



「勝手に治るのか?!」


「はい。私が発動している間は、この船の空間は現実の時間に侵されません。常に最善の状態に回復するようになっています。」



そこでいったん区切り私達にも同じ効果があることを話す。



「便利な能力だな」


「いいえ。結局は仮初の能力です。」



私の能力のことを、みんなに話す。


本部で学んだことは、刻盤とのシンクロ率を上げて発動時間を長くしただけ。

発動を解けば、すべてが現実の時間に戻るということ。

春華ちゃんも、無理をさせないために仲間や関係者には先に忠告するように言われている。



「だから、もしこの船で戦闘になったら無茶をしないで下さい。傷は必ず体に戻り、致命傷を受ければ必ず死にます。」



とても、重要なこと。

私は、死者を、蘇らせられない。



「私の能力は死者の時間を戻すことは出来ません。春華ちゃんなら、それに近い技ができますが…」



春華ちゃんは、死んでしまったと聞いた。


あまりにショックだったけど、春華ちゃんは泣き崩れることを喜ばないから、だからがんばる事に決めた。


「ミランダならできるよ、大丈夫」って、いつも言ってくれたもの。



「わかりました、皆に伝えておきます。」


「だがミランダ。そうなると、おぬし大丈夫なのか?」



何が大丈夫なのだろう…?



「え?」


「どう計算しても、この船で日本まで最低5日はかかる。それまで発動し続けるつもりか?」



そうだけど、何か問題があるのかしら?



「……」


「そっ、そうさ!発動しながらなんて寝れねぇじゃん!!」



ああ、そういうこと、寝ないということを教えてなかったわね。



「ああ、大丈夫。寝れないの得意なの私。失業し続けてた時とか、自分のダメさについて考えていたら、十日くらい眠れなかったことあるもの。」



「「(え…?)」」

「「「(それって…大丈夫…?)」」」



ミランダは、ウフフフフと不気味な笑いをしていた。



「「「「「(大丈夫なのか…?)」」」」」











[*黒白][銀灰#]

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