灰色綺譚 人の話は聞きなさい 戻ってきた闇が、アレンの左眼を完全に復元した。 キイィーンという音が静かに響いていた。 「………」 「ったく!キズついちゃったじゃない。ホント嫌なガキね。あーー服もボロボロ。」 「体を転換しないんですか?」 エリアーデはアレンに「ナマイキ」と愚痴りながら、埃をはたいていた。 「ブスになるから嫌なのよ。人間の姿のが好き。でも、まぁ…この状況じゃ、こんなことも言ってらんないか…」 「そうですよ」 私がさっき、やめなさいって言ったのに、また戦闘を再開させようとしている二人。 「ねぇ…二人とも。やめなさいって言った私の言葉は無視?」 「「え?」」 「やめなさいって、言ったでしょ?」 「…春華…。戦う理由が出来ました。」 「見てましたし、知ってます。その上で、私はやめなさいって言いました。」 「何でですか?!アクマは破壊します!!」 「邪魔しないでよ!」 「そう、エリアーデ。もうじき外での戦いがクライマックスを迎えるわ。ラビが大技使うから。」 私の発言に、アレンは何とも言えない表情になっている。 「ほら…聞こえない?この声が…」 イヤーカフスを外し、音量をスピーカーレベルにまで上げる。 《イノセンス第2開放》 《火-マルヒ-》 《劫火灰燼》 《火判》 「うるさいっ!!!」 キレたエリアーデが私に向かって攻撃してきた。 それも予測の範囲内。 さっきのラビの方の爆発と一緒に、予定していた方向に攻撃を流した。 そして、私の予定通りに食人花の群がるスペースに5人が集まった。 「ぐっ…おのれェ…」 エリアーデが、吹き飛んできたクロウリーの元に駆け寄った。 「よう、アレン、春華」 「ラビ!!なんだ、元気そう」 「説得は出来ましたか?」 「あれ?お前左眼治ったんか?開いてんじゃん。春華、一応全部話した。理解しているかは別として。」 「そう、じゃあ後は私が片付けるわ。」 エリアーデとクロウリーを殺し合わせるなんて、させたくないもの。 綺麗事?上等じゃない。 「ちょ、春華?!何をラビと話したんですか?僕だけ話の展開についていけないんですけど?!それにっ!アクマの破壊を邪魔するなんて失望しましたっ!!」 「あとでね、アレン。」 「!おい、アレン、春華、あの女…?!」 [*黒白][銀灰#] [戻る] |