執事綺譚 儚き天使は、強き女神に いつだったか 一度だけ泣いた お嬢様を見た 「私はいらない子」だからと †儚き天使† 弱音をはかないと、 強くありたいと、 そう言って春華様は、全てをご自身でこなされてきた。 表向きは、Sランク執事を従えた春華お嬢様。 裏は、華夜と名乗り男装し、Sランク執事の座を自力で手に入れたツワモノ… 「忍??どうしました?」 「いえ…何でもありません。あぁ…お薬の時間でしたね」 「さっき自分で出して飲んだよ?忍が意識飛ばしてる間にですけど。」 「え?あぁ…申し訳ありません、華夜様。少々、昔を思い出してしまいまして。」 きょとん…と、コチラを見る華夜様。 そんなに想いを馳せる記憶なんて…と、気にされているご様子だった。 「華夜様が、一度だけ泣いたあの夜を思い出しておりました。」 「ちょ…っ…何をそんな昔の事をっ!」 「あまりに成長されてしまい、寂しさを覚えていただけです。」 頬を染められ、私の白衣の裾を掴まれているお嬢様。 消えそうな声で「ごめんなさい…」とあの日も言っていた。 [次へ#] [戻る] |