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短編
+- Christmas present -+ 〜ヤドリギの下で





+- Christmas present -+ 〜ヤドリギの下で





時は12月24日、Christmas eve。


何の因果か某先輩宅の

Christmas partyとやらに強制参加。



・・・闇で動く人間たちが

神とやらの生誕祝いをするのは


どうも理不尽に感じてならないが

その姿を悟られるわけにも行かず、また

面目を保つ為の催しとでも言うのだろう。



「・・・不景気な顔をしてるわね、相変わらず」


某先輩そっくりの

冷たい微笑を浮かべて話しかけるのは


私と同学年の、アンジェ・マルフォイ。



マルフォイ家らしく

美しく、毅然と振舞う彼女ではあるが

実は可愛らしい一面もあるのだが・・・


それを垣間見せる事は殆ど無く

約7年、ホグワーツで一緒に過ごしている私も

数える程しかその姿にお目に掛かった事はない。

全く、どうしてこんなややこしい女を好きになったんだか。



「・・・・・・くだらんな」


ぽつりと呟くと

呆れた様な冷たい視線が飛んでくる。


・・・これで一応恋人同士だというのだから

何だか可笑しくなってきてしまうが。


「くだらなくは無いわ。判ってるクセに。


 これは私たちが闇に加担していないと

 周囲に思わせる為のフェイク。


 それと同時に、その当事者の顔合わせでもあるわ。


 ・・・あなたは、兄の誘いを受け入れたのでしょう?

 だったらこの会に参加するのは大きな意味がある。

 面倒かもしれないけれど、この世界では常識。

 それ位ご存知だと思ったけど・・・それともやっぱりバカなのかしら?」


躊躇う事も無く、キツイ言葉をさらりと述べて

その癖極上の笑みを投げ掛ける。


この姿に、何人のホグワーツ生が騙された事か。



その言葉に、返事をするのも馬鹿らしく

無言で目を細めると、彼女はニヤリと微笑い

更に言葉を続けたのだった。


学校では、学生最後の学年を楽しみ

だがしかし、NEWT試験やら卒業やらと

多少殺気立ってはいる物の、所詮は学生の戯れ。


スリザリンに属し、かつ

現在では彼女の兄がほぼ指揮を取る、闇の集団

"死喰い人"に誘われ、それを受け入れた時点で

まだ活動はしていなくとも、その一員とされ

普通の魔法使いとは、別の生活を強いられる事。



既に理解はしているつもりのそれらを話されたが

これは一応彼女の親切心で語られているのである。


先程の彼女の言葉の様に

この世界で生きる人間には常識的な事であり

今更である事を、こうして念押しされると言う事は

彼女なりに心配してくれているという事なのだ。


そうでなければ、話し掛ける事すらしないだろう。



曲がりなりにも彼女は名門の令嬢であり


"スリザリン、強いては純血たる者は〜"


と、育てられている彼女は

無駄な事、必要以上に(不利益な)他人に加担する事は

決してするべきでは無いと教えられている筈だ。



私に"既に知っているであろう事"をアドバイスするのは

無駄であるし、彼女には何の利益も得られる筈が無い。


だと言うのに・・・・・・・



「・・・お前の愛情表現は複雑だ」



私は、先程の呟きよりも更に小さく

殆ど独り言の様にそう吐き出した。



パーティ会場の喧騒の中だが

それでも、彼女にその言葉が届いたのだろう。


意外そうに目を見開いたアンジェは


「単純なのがお好きかしら?」


そう、小首を傾げて呟くと




突然




私の頬に口付けたのだった。


軽く、ほんの一瞬だったが

彼女の柔らかく温かな感触が

冷たい頬にほんのりと伝わり


その後はふわりと花の残り香が鼻を擽る。




「〜〜〜ッッ!!」



慌てふためく私に、楽しそうに

ふわり、と素の笑顔を垣間見せたアンジェは


「そこ、ヤドリギの真下よ?」


と言い残して去って行った。



多分に、Christmas presentと言った所なのだろう。


全く持ってややこしい女だが

こうして人のツボを突いて来るから溜まった物ではない。



「・・・・・・選択を誤ったか・・・」




感触が未だ残る頬を摩りながら

そう、苦笑を浮かべると


一部始終を眺めていたのだろう


"格好の獲物を見つけた"


とばかりに微笑を浮かべる某先輩に呼ばれ

仕方なく・・・否、ヤドリギから脱出すべく

彼に従ったのだった。




どうやら、この先の私の人生は

この2人に翻弄される事は間違いない様である。




Merry Christmas


懸命な諸君は道を踏み間違えない様に。













end




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駆け込み気味なXmasって感じですが
break the iceシリーズでのXmas更新となりました。

何かちょっと可愛いのが書きたくなったので
そうとくればこの2人でしょうvって事で^^;;

Merry Christmas!

2006.12.25 雪姫花


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