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触ってもいいか、なんて確認を取るよりも先に勝手に手が伸びてしまっていた。

同時に両方の掌で包み込んだソレはそれぞれ別のモノではあるけれど、どっちがどうとかそんな感想は俺の中には一切ない。
右が武内さんで、左が誠くん。ただそれだけ。

勿論、どっちも愛おしくて堪らない。


「はぁ……硬く、なってる…」


刺激を与える前から既に硬度を保っていたソレに思わず熱い息を漏らしてしまった。
「河原くんのせいだよ」と言ってさらりと頭を撫でてきた武内さんを熱を込めた眼差しで見上げる。


「舐めて、いいですか…?」

「両方?」

「っ、両方…、誠くんも、いいっ?」


逸る気持ちのまま訊ねると、誠くんは良いとは言わずに「舌出して」と指示をしてきた。
それに従って舌を突き出すと、誠くんが腰を動かしてソレの先っぽを俺の舌に押し当てながら「これが舐めたい?」と訊き返してくる。


「ッ、はっ…」


舌を突き出したまま、背中をぞくぞくと震わせながら何度も頷くと、その拍子に溜まっていた唾液が口の端から零れ落ちた。
それを見てほぼ同時に笑みを零した二人が、それぞれ揶揄いの言葉を掛けてくる。


「もう涎なんか垂らしちゃって。餌が待ち切れない犬みたいだね」

「でも、そんなはしたない顔も可愛いですよ」

「そうだね。河原くんがそんな顔するから、僕のも涎が垂れてきちゃった」


ほら、と腰を突き出す武内さんに興奮を煽られ、もう我慢なんて出来やしなかった。

伸ばした舌で武内さんのモノの先端に滲む液を舐め取り、それから直ぐに誠くんのモノに対しても同じように舌を這わせる。
それの味なんてものはよく分からないけれど、俺にとってはどんなアルコールよりも脳を麻痺させる効果があるものには違いない。

そこから夢中になって二つのモノに舌を這わせ始めると、俺を見下ろす二人の視線もどんどん温度を増していったようだった。


「河原くん」


不意に名前を呼ばれて視線を上げると、焼け焦げてしまいそうなくらいに熱を持った瞳で俺を見ている二人が目に入り、どくんっと激しく心臓が脈打つ。
何も言われなかったけど、そのまま二人の顔を見ながら手と口の動きを再開させると両手の中にあるソレもびくんと脈打ったように感じた。


「…エロ過ぎますって。俺もう普通に無理なんですけど。この光景もずっと見ていたい気持ちはありますけど、早く中に…」

「それは僕も同じだよ。まだ殆ど何もさせて貰えてないのもあるし、僕が攻めたい気持ちが抑えられない」


そう言って示し合わせたかのように手を伸ばしてきた二人が、俺の動きを封じながらそのまま俺の身体をベッドに沈めてしまった。
まだ満足出来ていないことなんて俺の顔を見れば分かるだろうけど、二人もそれどころじゃなかったようだ。

武内さんがベッドサイドの棚からローションを取り出すのはほんの数秒のことだった。
その僅かな時間で俺の両脚を抱えて持ち上げた誠くんが、熱に浮かされたような表情で「こっち解しますね」と言って後ろの穴に指で触れてくる。


「ねえ、どうして誠がすることになってるの」

「下半身は譲ってくれるんじゃないんですか」

「それはそれだよ。脚に触るなって言うなら誠が抱えておいてくれたら良いだけの話でしょ」

「…じゃあもう、二人でしたら良いんじゃないですかね」


お互いに譲る姿勢を見せなかったからか。
誠くんのその提案も殆ど投げやりなものに聞こえたけれど、お互いに納得出来る方法はそれしかないと武内さんも思ってしまったらしい。

「じゃあ、それで」と合意した武内さんの返答こそ投げやりだった気がする。

俺にはもう既に彼らの選択を拒む意思なんてものは存在していないから、二人がそうすると言うならそれに従うより他はない。
誠くんに脚を持ち上げられた格好のまま二人の様子を伺っていると、ボトルの蓋を開けた武内さんが穴の周辺にその中身を垂らした。

すかさずそこに触れてきた二人の指が、固く閉ざされている穴を少しでも早く解そうとそれぞれ別のやり方で蠢き出す。


「うっ…く…っ」

「ごめん。出来るだけ丁寧にするけど、痛かったら言って」

「だい、じょうぶ…です」


痛みの程度はいつもと変わらないくらいだったし、そんなことよりも”早く繋がりたい”と言う二人の気持ちがひしひしと伝わってきていたから、俺もそれに応えたかった。

とは言っても、俺に出来ることなんて身体から力を抜くことくらいしかない。
そしてそれが俺にとっては難しいことだったりもするんだけど、今日はお酒の力なのか緊張もしていないからか、序盤から二人分の指を上手く受け入れることが出来ていた。


「うっ……あ…っ……あっ…」

「これもこれで、煽られるね」

「煽られっぱなしですよ。勃ち過ぎて痛いくらいだし…」

「…本当にね」


ぐちゅ、ぶちゅっと、普段は聞かないような不規則なリズムで鳴らされる濡れた音。
それと共に聞こえてくる二人の会話。


「もう何もかも、河原くんだけだよ」


興奮の中に優しさを含ませた声で武内さんはそう言った。

”何もかも”と言う言葉にどんなことが含まれているのか。
それも俺には分からないけど、俺だけと言う表現だけでも十分過ぎるくらい喜びを感じてしまった。


「ッ……ううっ…」


その時、ぶわっと俺の身体を襲った感情は一つではなかった。

急激な体温の上昇と制御出来ない程の高揚感で満たされた身体が二人の熱を求めて激しく収縮を繰り返す。
自分でも何がどうなっているのかよく理解出来ていなかったけど、本能に従っていたことだけは間違いなかったと思う。


「もっ、いれてっ…中っ…挿れてくださいっ」


二人掛かりで解して貰っていたんだからもう大丈夫だと思った。

いつもに比べたらまだ十分だとは言えない段階ではあるのかも知れない。
でももう、俺が待っていられない。

最初は二人も「まだ早いんじゃないか…」と躊躇うような反応を見せていたけど、膨らんでしまった欲求には勝てなかったようだ。


「順番は譲ってあげるから、その代わりバックでして」

「…分かりました」


短いやり取りがされた後。
完全に服を脱ぎ去った誠くんに武内さんが「ゴムは…」と訊くと、いつの間にか誠くんの手にはそれの包みが持たれていて俺が驚いてしまった。


「持ってきてない訳がないですよ。朝からそのつもりだったんですから」

「ッ……」


今のは武内さんに向けたものだったのか、それとも俺に対する説明だったのか。
俺を見ながらそう答えた誠くんが、触らなくても分かるくらいに勃起しているソレに手早くゴムを装着して再びベッドの上に乗り上げてくる。

持ってきていることよりもいつの間に手元に用意していたんだと言う驚きの方が大きかったけど、すっかり発情した表情と声で「四つん這いになれますか」と言われた段階でそんなことはもうどうでも良くなってしまった。

言われた通り、ベッドに両手と膝を突いて誠くんにお尻を向ける。
その体勢を取ってから後ろの穴に誠くんのソレが触れるまでは本当に直ぐのことだった。




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