9 ※
徳川さんの指に翻弄される俺を見る彼らの表情は溶けてしまいそうなくらいに甘い。
勿論、掛けられる言葉も。
「指全部入っちゃった。偉いな、詩音。ちゃんとお尻で咥えられて」
「詩音くんなら出来ると思ったよ。苦しいのもちゃんと我慢出来て、ほんとにいい子だね」
「中でもちゃんと気持ち良くしてあげるから。詩音くんの可愛い声、沢山聞かせて」
偉い、いい子だ、可愛い。
そんな言葉はいっぱいくれるのに、誰も助けようとはしてくれない。
両腕はそれぞれ尊さんと直輝さんに抑えられているから逃げることも出来ないし、その間にどんどん徳川さんの指の動きは大胆になっていって。
「ううっ…くっ、ん……あっ…あ…」
「可愛い声が出始めたね。どう?詩音くん。気持ち良くなってきた?」
「んっ、わかん、ない…っ」
「ほんとに?」
「じゃあもうちょっと激しくして貰う?」
「ッ、やっやだっそれはっ」
「大丈夫。ちゃんと気持ち良くして貰おうな」
そう言って微笑んだ尊さんが徳川さんに向かって「もうちょい激しめで」と勝手に注文してしまった。
返事の代わりに、カチっと言う音が聞こえた後。
お尻の穴にまた冷たい液体が垂らされたと思ったら、それからすぐにそれまで以上の痛みと圧迫感が押し寄せてきた。
「ッい…!!」
「ごめん、痛かった?」
「ッ、い、た…い…」
「まだ二本はキツかったかな。じゃあ…」
この状況で”じゃあ”の後に続く言葉なんて”抜くよ”しかない筈だ。
でも徳川さんはその指を抜いてくれはしなかった。
何が”じゃあ”だったのか。
中に埋めたままの指をぐるんと回転させた彼が、お腹側に向かってぐにぐにと指を押し付け始めた。
それまでと違う感覚がして全身に戸惑いが走る。
「うっ…あぁ…なに…やだ…っ」
「中が少しキツくなった。この方が好き?」
この方がって言われても、何と比べているんだ。
分からないと首を振る俺に徳川さんはまた「じゃあ、」と言って、二本入っているらしい指をもっと奥まで埋め込んできた。
「ああッ!」
「こっちの方がいいかな」
比べていたのはそれとってことなんだろう。
まとめた指を奥から手前までゆっくりと繰り返し抜き差しし始めた徳川さんに困惑の表情を向けると、彼が「詩音くんにはまだ前立腺は早かったね」と言って優しく微笑む。
もうみんな、表情が言ってることとやってることと違い過ぎる。
お陰でもう何を言われているのか、自分が今何をされているのかも分からなくなってきた。
「うあっ…ん、くっ……あ、…うぅ…」
「可愛い。ちゃんとお尻で感じてるじゃん。なあ、詩音」
「よく、…わかんな…」
「ちゃんと感じてるよ。じゃないとこうはならないでしょ?」
直輝さんの声が聞こえた後、萎える気配を見せない俺のソレを指先でつーっとなぞられて腰がビクついた。
その拍子に中に埋まる指を締め付けてしまったらしい。
今俺の身体がどこで快感を拾ったのか、それすらあやふやになって。
「ぃ……きもち、い…っ」
「うん。どこが気持ち良い?ここ?それともお尻?」
「んっ、ぜんぶっ…あぁっ!」
どこが気持ちいいのかハッキリと分からないまま全部と答えたら、直輝さんの手が俺のソレを包み込んで上下に扱き始めた。
その快感だけは確かなもので、中と外に同時に与えられる別々の刺激を俺の頭は一つの快感だと認識したようだ。
「あっ、きもちっ…あぁっ」
「全部気持ち良い、か。えっちな身体だね」
「あっ…えっちじゃ…」
「こんなに硬くてビクビクしてるのに、えっちじゃないんだ?そっか。えっちじゃないなら止めようかな」
そう言ってぱっと手を放してしまった直輝さんに思わず「やだぁっ…」と縋るような目を向けてしまった。
「うん?」と僅かに首を傾ける彼の表情は相変わらず優しいままだ。
「なんでっ…うぅ…意地悪…しないで…っ」
「…ふふ。ずっと我慢してたんだよ?そろそろ俺にも意地悪させてよ」
「や、だ…っ」
「そんなこと言って、苛められるのも好きな癖に」
「好きじゃ…」
「我がままな詩音くんも可愛いけど、素直にならないと駄目だよ。まあ、俺が触らなくても徳川くんの指で気持ち良くなれてるみたいだから、別に良いのかも知れないけど」
「ッ……」
普段からしょっちゅう意地悪されていて慣れていたら今のもなんてことなかったかも知れない。
でも、直輝さんからこんな風に苛められたことなんかなかったし、中途半端に弄られた身体を放置されるのも辛くて。
「っ…いや、だ…っ…えっちで、いいからっ……触ってほしい…っ」
「えっち”で”いい?」
「うっ……うぅ…えっち…だからぁ…ッ」
半泣き状態で求められた言葉を口にした俺を見て直輝さんは満足そうに微笑むと、とびきり甘い声で「えっちな詩音くんも大好きだよ」と囁いて、俺のソレを掌で包み込んだ。
その瞬間に”落ちた”と、この場にいる全員が感じ取ったんじゃないかと思う。
俺自身もちゃんと実感していた。
この状態の俺はもう、この人達には逆らえない。
「やばいな…俺マジで我慢出来そうにないんですけど」
「また口でして貰えば?」
「いや、中に指入れたままは、流石にちょっと不安って言うか…」
「それなら抜くよ。僕もそろそろキツくなってきてる」
「…それは俺も同じかな。じゃあちょっと体勢を変えようか」
三人のやり取りは俺の耳には殆ど届いてない。
だから、俺からしたら急にお尻の中から指を抜かれて、急に身体を起こされたって感じだった。
その後も三人に誘導されるままにベッドの縁に座らされ、右手で徳川さんのソレを扱くように言われ、反対にいる尊さんのソレを左手で支えながら口に咥えさせられた。
これもまるでAVみたいな状況だけど、もうすっかり彼らの犬になってしまっている俺には今更何の抵抗もない。
寧ろ一生懸命奉仕すればいっぱい褒めて貰えるから、何も言われなくても積極的になってしまう。
されるよりもしてあげる方が性に合ってるのかも知れない。
やっぱり俺は犬なんだ。
「んむっ…んっ…はっ…んん」
「はあ…、どした?初めてなのに、すごい上手じゃん」
俺の頭を撫でながら気持ち良さそうに目を細める尊さんの顔を見たら俺も嬉しくなった。
そうやって褒められたらもっとしてあげたい気持ちになる。
「あーあ、そんな顔して…美味しいの?俺のちんこ」
「ん、…おい、ひい…っ」
「ッ……あー、まじか。ごめん詩音、無理だわ」
咥えたまま美味しいと答えると口の中のソレがまた少し大きくなったような気がした。
それを聞いて切羽詰まったような声で無理だと口にした尊さんが、俺の首の裏に手を添えてゆっくりと自ら腰を動かし始める。
「んんっ…!」
「ねえ、聞きましたよね?今の。美味しいって言って俺のちんこしゃぶってるんですけど。やばくないですか」
「はいはい。良かったね。イラマ出来るだけじゃなくてそんなことまで言って貰えて」
「最高ですね。マジで、こんな日がくるとは思わなかった」
最初は自分で動くより楽だと思って尊さんの好きにさせていたんだけど、段々と腰の動きが早まっていくにつれて苦しさが増すようになった。
でもまだこんなのは序の口で、喉の奥を突かれるようになって初めて俺はイラマチオと言うものを体験することになる。
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