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エアコンがついていない俺の部屋は暑過ぎて一気に不快指数が上昇した。
ベッドに座らされてすぐ、徳川さんと入れ替わるように俺の隣に座った尊さんがキスをしてくれたことによって不快感は見事にかき消して貰えたんだけど、お陰で身体はもっと熱くなってしまった。


「ん…っはぁ……ん…」


自分の部屋のベッドの上で尊さんとキスをしている。
その状況だけでも十分過ぎるくらいに興奮出来てしまうのに、すぐ側で直輝さんと徳川さんに見られていると思ったら真面目に頭が沸騰しそうになった。

恥ずかしい、けど気持ちいい。まだ恐怖はある、けど好奇心もある。
色んな感情が混ざり合って、俺の頭と心の中は今までにないくらいごちゃごちゃになっている。

でもやっぱり、嫌悪感だけはない。


「っ…尊さん」

「ん?」

「さっきの、とこ…気持ちかった」

「どこ」

「べろ、の…裏の…」


さっき指で触られていた所だと伝えると、ふっと笑った尊さんが今度は舌先でそこを弄ってくれた。
そっちの方が指よりも気持ちいいし、ぬるっとした感覚に興奮してしまって変な声と唾液が抑えられなくなる。


「んっ…んんっ…」


溢れた唾液が顎を伝う感覚で目を開けると尊さんと目が合った。
その瞬間にぞくっとして、固まってしまった俺に向かって尊さんが「なあ詩音」と投げ掛けながら、垂れてしまった唾液を舐め取ってくれる。


「口の中にも性感帯ってあるんだって」

「…今のとこ…?」

「他の場所も」

「…だから気持ちいいの…?キスするの」


そう訊ねたら、尊さんが俺の唇に吸い付きながら「それは詩音が、俺のことが好きだから」と答えた。

それは確かに、その答えの方が俺もしっくりくる。
笑いながら「俺もそう思う」と返すと「あー」と唸った尊さんにぐしゃぐしゃっと髪の毛を掻き混ぜられた。


「なん、ですか」

「詩音が可愛過ぎて押し倒したい気持ちを発散させてる」

「え…」

「でもそれは俺じゃなくてあの人達の役割だから、お口の中の性感帯はまた後でな」


「楽しみにしといて」と言いながら立ち上がった尊さんが、ベッドの脇に立ったままだった二人に向かって「一回俺のターンは終わりってことで、どうぞ」と言って俺の隣を空けた。

その時初めて、誰かがつけてくれたエアコンが効いてきていることを体感した俺は、それまで熱かった身体が冷たい空気に冷却されていくのを感じて咄嗟に直輝さんの腕を掴んだ。
驚いた顔をして「どうしたの?」と訊ねてきた直輝さんにこの感情をどう伝えたらいいかが分からず、小さい声で「寒い…」と漏らすと俺の気持ちを汲み取ってくれた彼が隣に腰を下ろす。


「今から脱がせるつもりだったけど、寒いなら服は着たままにする?」

「…それ、意地悪で言ってますか?」


困った顔で訊ねると、直輝さんは何も言わずに優しい表情で俺の頭を撫でてきた。

多分それはごめんって意味で、さっきのは意地悪だったってことなんだと思う。
だからって仕返しするつもりもなければ、いつもの調子で言葉を返す余裕なんてものもない。


「俺もう、頭回んないから」

「うん。何も考えなくていいよ。詩音くんはただ、素直に感じてて」


そう言って直輝さんは俺の頬にちゅっとキスをすると、段々と唇を首の方へと移動させていった。
じんわり汗ばんでいる肌をれろっと舐められ、その刺激にびくっと反応している隙に服の裾から侵入してきていた手が胸元を弄ってくる。

それまでずっと乳首乳首言ってたのに、そこだけを避けるように指でなぞったり平らな胸を揉んだりしてくるから、もどかしい気持ちを抱いてしまう。


「乳首がいいんじゃ、ないんですか…?」

「うん?ふふ。詩音くんは?」

「俺が訊いたのに」

「俺は勿論乳首がいいよ。でも詩音くんは?」

「……言わせたいんですか?」

「うん。言ってくれたら沢山気持ち良くしてあげる」


そう言われても、俺は別に乳首で気持ち良くなりたいって願望はそこまでない。
直輝さんがしたいって言うからさせてあげるくらいのつもりだった。

でも、そんなのが通用するのはAVとか漫画の世界だけだろと思っていたやり取りも、こう言う状況になればちゃんと興奮に繋がるらしい。

隣に座る直輝さんの顔を見つめながら小さな声で「俺も、乳首がいい…」と口にすると、一瞬堪えるような表情を見せた彼が「ごめん、ちょっと待って」と言って首筋にじゅうっと吸い付いてきた。


「んっ、なに…」

「ごめん。詩音くんが素直なのは嬉しいんだけど、可愛過ぎて理性が飛びそうになる」

「っ……」


それは…俺に言われても、困る。

でもなんか直輝さんが言ってることが徳川さんみたいだなと思って、ちらっと徳川さんに視線を向けたら多分向こうも同じようなことを考えていたんだと思う。
目が合ったのをきっかけに俺達の元に近付いてきた徳川さんが「詩音くんの可愛さに耐えられないのは僕だけじゃないんですね」と言って俺の足元にすっと腰を下ろした。


「まあ、ただの仲良い配達員として接して貰ってた時とは話が違うからね」

「それはそうですね」

「それなんですけど、結局俺達の関係って何になると思います?」


直輝さんの言葉を拾った尊さんがそう訊ねると、他の二人が視線を交わした後に俺を見た。
同じように尊さんも俺を見てくるから、若干不安になりながらも「彼氏じゃないんですか…?」と訊ねると満場一致で「彼氏だよ」と返ってきた。

なんかもうそれで話は終わったらしい。

おまけにみんな何かが吹っ切れたっぽくて、それからの俺に対する態度も他の人同士の態度にも遠慮がなくなった。
あと連携が凄くなった。

そんなに会話なんてしてなかったのに、気付いたら身に着けていた物を全て奪われた状態でベッドの上に転がされていて。
気付いたら横を向いて尊さんのソレを舐めつつ、反対側にいる直輝さんに乳首を弄られると言う状況に陥っていた。


「あー、やばい…ほんとやばい…」


尊さんが戸惑うような声で唸るから視線を上げたら、今までよりもまた一段階上のレベルでえろい顔をしている彼と目が合った。
その瞬間に眉を寄せた尊さんが、俺の頭をゆっくりと撫でながら困ったように微笑む。


「詩音が舐めてるってだけで、出そうになる」

「っ…きもちいって、こと…?」

「うん。じゃなきゃこうなってないよ」


言われてもう一度視線を落とすと、目の前にある尊さんのソレは確かに一目で分かるくらいに勃起していて、俺が舐める度にびくびくと脈打っているようにも見える。

まさか男のソレを舐める日がくるなんて少し前までは考えもしなかったけど、最初に見た瞬間から不思議と嫌悪感や拒絶心のようなものはなかった。

なんならソレすらも尊さんのだと思うと爽やかに見えるって言うか、清潔感溢れるものに見えるって言うか。
見た目は当然グロいんだけど、俺の目には既にフィルターが掛かっているのか全然そんな風に見えないから躊躇いなく舐めることが出来ている。




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