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誠くんが俺の為にしてくれていた最後の配慮を俺が自ら無駄にしてしまった。
それはお互いにとって良くないことなのに、そう思えば思う程に反発してしまうのは心理現象の一つでもあるらしい。
だったら俺も誠くんも人間なんだからそうなっても仕方がないと言うことだ。

そもそもこれ自体が本能に従った行為なんだから…って、俺は誰に対して言い訳をしているのか。


「…葉太さん…」


服を全て脱がされ生まれたままの姿でベッドの上に横たわる俺に、焦がすような視線が突き刺さる。
太腿に触れた手で内側の敏感な肌を撫でられ、びくっと身体を強張らせると、身体の緊張を無理矢理解くように股を大きく開かされた。
その真ん中で小さく震えているソコに吸い寄せられるように顔を寄せた彼が、その裏筋に迷うことなく舌を這わせる。


「あぁっ……ッ、誠くんっ…」


初めての時も彼はこうして躊躇うことなんてせず、俺に人生初のフェラを体験させてくれた。
あの時はそんなことが平気で出来てしまう彼をおかしいとさえ思っていたけど、俺のことが好きだったんだと知った今ならその気持ちは俺にも分かる。

その行為の気持ち良さを知った今なら、それだけの快感を相手に与えてあげたいと思う気持ちも。
興奮と欲望を正直に主張するソレを、愛でたいと思う気持ちも、よく分かる。


「ねっ…今日は俺もっ…誠くんの、舐めたい…っ」


そう申し出ると、ちらっと顔を上げた彼が「駄目です」と短く言ってまた直ぐにソレを咥え直した。
駄目だと言われるとは思わなくて「何でっ?」と訊ねたけど返答はなく、その代わりに口の動きだけが大胆になっていく。


「あ、んっ…誠くっ…何で…っぁああ」


数回訊ねてみてもやっぱり答えは返ってはこなかった。
その間に激しくなった口淫のせいで意識がそっちに持っていかれてしまう。

ピタリと這わされた唇で先端から根本までを何度も扱かれ、時折舌の先がぐりぐりと付け根を刺激してくる。
変化をつけながらも確実に快感だけを与え続けてくるから、早くも限界を迎えてしまった。


「誠くっ、だめ、も、イっちゃうっ…」


込み上げる射精感を訴えたらそこで初めて誠くんの口がソレから離れた。
もう少しでイけそうだったのに、なんて考えるまでもなく今度は彼の手によって激しく扱かれ本当の限界を迎える。


「あっあっイくっ、イく…ッ!」


一気に襲ってきた解放感に耐えるように、ぎゅっと目を瞑って精を吐き出す。
射精後の倦怠感に包まれながら乱れた息を整えていると、不意に濡れた感覚が太腿を襲った。
驚きで閉じていた目を開き視線を落とすと、誠くんの掌が今出したばかりの俺の精液を塗り拡げるように太腿の上を這っていて更なる驚きで唖然としてしまう。


「ッ……なっ、何して…」

「俺のをかけたかったんですけどそれだと色々都合が悪いんで」

「え…?何が…」

「気にしないでください。てかこれ、マジでエロい」


はぐらかされたと思ったら、そのままの流れで再び顔を下半身に埋めた彼が太腿をべろりと舐めた。


「う、あ…ちょっ…と…、んっ」


大した量ではないにしろ、自分で塗り拡げた俺の精液を綺麗に舐め取っていく彼の行動は流石に俺も共感してあげることが出来ない。
それの何に興奮しているのかは分からないけど、相変わらず脚を舐めている時の誠くんのうっとりとした表情は結構クるものがある。
何ならフェラ以上にエロいことをされている気分になるくらいだ。


「太腿舐められて感じてるんですか?葉太さんの、また勃ってきてますよ」

「っ……誠…くんが……えっちな顔…してるから…」

「へえ。そんなこと言って、この辺り舐められるの好きですよね?」


この辺り、とは足の付根の敏感な部分で。
そこを濡れた舌先がれろりと這う感覚に腰が大きくビクついた。
その反応に満足そうな声で「ほら」と言った彼が舌を何度も往復させてその部分を重点的に嬲る。


「ッ…や、そこっ…擽ったい…っ」

「…それだけじゃないでしょ」

「んんっ……んっ…それ、だめ…っ」

「駄目って声、してませんけど…気持ち良いんですよね?前の方が素直でしたよ、葉太さん」

「ちがっ…」


確かにそこを舐められるのは擽ったいだけじゃなくて気持ち良さもある。
だけど、そうじゃなくて。


「そんな、されたら…我慢、出来ない…っ」

「我慢?何をですか?」

「ッ……な、…中も……して…欲しくて…」

「……、中って?」


顔を上げた誠くんが射抜くような目で俺を見つめながら訊ねてくる。
直接的な表現をするのが恥ずかしかったから、彼の手を引いて後ろの穴に導くと指先がその縁に触れた。

俺の行動でまた一段と熱を帯びた表情を見せた彼が「…ここですか?」と問いながら指先を僅かに中に埋める。


「っん…!」

「自分で求めるくらい、葉太さんはもう、男に抱かれることを望む身体になってるんですね」

「ッ!」

「やっぱり口惜しいですし、嫉妬で頭がどうにかなりそうです」


平坦な声で呟くように言った彼に俺が掛けるべき言葉が何なのか、全く分からなかった。
何か言わなきゃと思うのに何も言葉が出てこなくて、話そうとする意思だけ見せる俺を見て、彼がふっと笑う。


「だから、この感情、葉太さんがどうにかしてください」

「っ……え…?」

「葉太さんの身体で昇華させて貰いますから」


そう言って彼が徐にベッドの横側にある引き出しを開け、中から何かを取り出す。
その手に持たれていた物はローションのボトルとコンドームの包みだったんだけど、急な話の展開に俺の頭はまだ追い付いていない。
そんな俺を放置して早速ローションを垂らした指を穴に触れさせた彼が、それを塗り込むように浅い所を出し入れし始める。


「あ、う…ッ……く…っ」

「痛いですか?」

「大、丈夫…っ」

「じゃあ、ちょっと遠慮がないかも知れませんけど、許してくださいね」


早く挿れたいので、と聞こえた声には自然と「俺もっ…」と反応してしまっていた。
「早く、誠くんの、挿れて欲しい…っ」と伝えると、彼の表情に熱が戻る。


「俺の何を挿れて欲しいんですか?」

「う、…まこ、…誠くん、の…おっきい、ちんこ…っ」

「ッ……いや、ヤバいですって。エロ過ぎ」


そう漏らした後、ぐぐっと指を押し込めてきた彼が途中まで埋まった指で内壁を引っ掻いた。
そのまま角度を変えながらあらゆる箇所を解すように蠢く指に、身体の熱がどんどんと煽られていく。


「葉太さんの一番感じるとこってどこですか?前立腺?」

「っ…そ、そこ…したら…っ…俺、おかしく…」

「どこですか?この辺り?」

「っあ、誠くっ…待って、ほんとに…っ」

「ねえ、教えて、葉太さん。俺に苛められて、おかしくなって」

「ッ……」


ここにきて甘えるような口調でそんなことを言うなんて狡いと思った。
そうじゃなくても本気で拒絶するまではしなかっただろうに、そんな言い方をされたら期待してしまう。

結局、大体の位置を伝えてそこを探るように指を動かして貰っていたら彼の指がそこにヒットした。
あからさまな反応を見せた俺に「あ、これか。これですね?」と弾んだ声で訊ねてきた彼が、俺の返答なんて聞くまでもなくそこだけを弄くり回す。


「あっ、あッ!だめっ、そんな…っあぁ!」

「滅茶苦茶反応良いじゃないですか。そんなに気持ち良いなら早く言ってくれたら良かったのに」


違う。この気持ち良さはそれだけで済まないから躊躇ってしまったんだ。
そこだけを弄られたらどうなるのか。
今から試すつもりなんだろうから直ぐに分かると思うけど、きっとそれは誠くんの想像以上だと思う。




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あきゅろす。
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