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諒太さんのフェラが気持ち良かったのは本当で、同時に篤志さんから乳首を弄られていたのも大いに関係している。
でもあそこまで早かったのは、射精自体が六日振りだったからだと思う。

どのくらい溜まっていたのかと訊かれたのでそれにも正直に先週の木曜振りだと答えると二人とも驚いていた。
そんなに毎日ヤっていると思われていたのか、と思った後に確かに毎日のようにヤっていたなあと気付いて出掛かった言葉を呑み込んだ。

その代わりに「オナニーする習慣がなくて…」と答えたら何故か二人は悶えていた。
多分だけど、馬鹿にされている訳ではないと思う。
されていたとしても今はそんなことはどうでも良いと思えるけど。


「俺なんか毎晩葉太くんで抜いてるのに」

「っ…ほんとですか…?」


すかさず真偽を確かめると篤志さんがにこりと微笑みながら頷いた。
「嬉しいの?」と訊かれて俺も直ぐに頷いて見せると、その笑みが益々甘くなる。


「三森くんには先に謝っとくよ。これから俺が葉太くんに対して”可愛い”って言う回数、半端ないと思うから。うるさいと思ってもそこは許してね」

「…まあ、それは仕方ないことかと。実際に可愛いですから」

「うん、そうなんだよね。可愛いんだから仕方ないよね」


「可愛いもん」と既にその言葉を連呼している篤志さんに照れていたら、諒太さんが「じゃあ、俺も一つ…」と言いながら俺の直ぐ側に身を寄せるように腰を下ろした。


「必ず痕を残さないようにはしますけど、それでも何度も噛んでしまうと思うので、回数が増えてきたと思ったら止めて貰えると助かります」


俺の首筋に指を這わせながら、篤志さんに向けてそう言った諒太さんの目を見て、そろそろスイッチが入ってしまいそうな雰囲気を感じ取る。
その投げ掛けに対して篤志さんは落ち着いた声で「早目に止めるかも」と答えた。


「それでも構いませんけど、甘噛み程度ですからご心配なさらないでください」

「心配は……まあ、そうだね。ある意味心配してる。この前も変な扉開き掛けて自重したばかりだから」

「…そうですか。それなら、焚き付けるようなこともしないように気を付けます」


「葉太くんは喜ぶと思いますけど」と言って俺に目を向けた諒太さんが艶やかな表情で微笑む。
落ち着いて見えるその瞳の奥でぐらついている熱が視線から伝わってきて、緊張と期待でごくりと喉が鳴った。


「さっきのご褒美、まだ貰えてない」


そう言った彼に引き寄せられるように顔を近付けると直ぐに唇が重なった。
土曜の夜に出来なかった分を取り戻すように、しっとりと深く重なり合う唇から痺れるような快感が生まれて背中が震える。

そんな俺達の横で「邪魔する訳じゃないんだけどさぁ」と呟いた篤志さんが、その指で俺の乳首をきゅっと摘まんだ。


「んうっ……あぁ…っ」

「別にキスしてて貰って良いんだけど、俺もいるからね?見てるだけだったらいる意味ないし」


何を言われているのかまではちゃんと聞き取れていなくても、そのままぐりぐりと強めの力で乳首を捏ねられるせいでどうしても意識がそっちに向いてしまう。

程良い痛みと快感に身体をびくびくさせていると、キスを止めた諒太さんがふっと笑みを零し、それから耳朶を甘噛みしてきた。
「ご褒美ありがとう」と囁いて、唇と歯で耳を刺激してくる彼に甘い声を漏らす俺の後ろで篤志さんが小さく溜息を吐く。


「三森くんに気を遣わせてるようじゃ駄目だね、俺も」

「そんなつもりはないですよ。キスをしてると葉太くんの声が聞こえなくなるかなと思って」

「それもそれで、そうじゃん?まあでも、そのご厚意に甘えさせて貰って…って言うか、折角だし仲良くいこっか」


こんな機会滅多にないだろうからと言った篤志さんに、諒太さんも静かに同意を示す。

滅多にどころか、これでもう最後にして欲しい。
この二人は衝突はしないようだからその点は安心出来るけど、それでもどっちの話を聞いてどっちの刺激に反応すれば良いのか。
目の前の一人に集中してしまうタイプの俺にはこの状況はかなりのハードモードで。

そんな俺の心を知ってか知らずか、同時に動き出した二人が示し合わせたかのように両方の乳首を刺激し始めた。
篤志さんはそれまで通り指で、諒太さんは少し身を屈めて舌でそれぞれ別々の刺激を与えられ、心臓がコントロールを失ったかのように不規則に暴れ出す。


「んぅッ…あっ……ううぅ…っ」

「どうしたの?気持ち良くない?」

「違っ……い、一緒に、されたらっ…」

「困る?」


篤志さんの投げ掛けにこくこくと頷くと「でもさ、」と言った彼の唇が耳に触れた。
くちゅっと濡れた音が鼓膜を大きく揺らし、遅れて理解した舌の感覚に首を竦めて身を捩る。


「んっ…ん、篤志、さん…っ」

「葉太くんはまだ、二人いる意味をちゃんと体感出来てないと思うよ。両方の乳首を同時に弄ることくらい、一人でも出来るよね」


直接吹き込まれる声と吐息にクラクラして、濡れた舌の感触に体温を煽られて。
ふるふると首を振ることしか出来ない俺の顎を指先で捉えて視線を下げさせた篤志さんが、その先にある光景を俺に直視させながら囁き掛けてくる。


「でも今はほら、見て。葉太くんの乳首を舐めてるのは誰?」

「ッ!…っ…」


篤志さんの投げ掛けと同時に視線を上げた諒太さんと目が合った。
その瞬間から彼から目が離せなくなって、震える声でその名を口にすると「じゃあこっちは?」と言って篤志さんの舌が耳の輪郭をゆっくりとなぞる。


「んっ…うう…っ…篤志…さん…っ」

「そうだね。同時に二箇所舐めるのは、一人じゃ無理だよね?」

「ッ…あっ…あぁっ…」

「手も四つあるから、四箇所同時に触ることが出来るし」

「あっ…!んっ……あ、…あぁっ」


言葉に合わせて身体中を弄る四つの手に、怖いくらいに興奮を煽られた。
口から漏れる喘ぎを抑えられなくなった俺を見てふっと笑った諒太さんが、ぷくりと立ち上がっている乳首に歯を立てる。


「あぅっ!」

「三森くんに痛いことされた後は、俺が優しく癒してあげるし、…足りなくなったらまた、三森くんに噛んで貰ったりして…」

「いッ!ふっ、ううっ…」

「そうやって俺達の口と手で、葉太くんの全身を気持ち良くしてあげられるんだよ」


「それでも困る?」と言う投げ掛けに答えられずにいる俺に、耳元で笑った篤志さんがまるで洗脳するかのように甘い毒を含んだ声で「嬉しいよね?」と囁いた。

耳から入ってきたその言葉が全身に拡がっていって、俺の身体を支配する。
この状況を、この行為自体を俺は、喜ぶべきなんだと。

頭の中ではずっと警鐘が鳴り響いていたけれど、俺はその誘惑に逆らうことが出来ずに頷いてしまった。

こんなの、一度ハマったら抜け出せない沼だと分かっていたのに。
まだ恐る恐る片足を入れていただけの状態だったのに。
その一言で自ら両足を突っ込んでしまい、そのままずぶずぶと沈んでいくことになった。


***




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