名前
6
唇を尖らせる彼女に向けて手を広げる。
「してないって。ほら『抱っこ』して『ちゅぅ』してあげるから。」
ジト目で俺を見ながらも、俺の腕の中に納まってくれるうさぎちゃん。
勉強ができて、しっかりしてるように見えるから忘れがちだけど、彼女はとんでもなく不器用な娘だった。
そんな娘に俺は何をそんなに急かしていたんだろう。
彼女はちゃんと俺のことが好きだって言ってくれたんだから、呼び方なんてどうでもいいじゃないか。
もっとゆっくりと進めばいいんだよ。
頬にわざとらしいぐらいに『ちゅぅ』っと音を立てて彼女の頬にキスをする。
凄い音に『吸い付かれた』と自分の頬に手をあてたうさぎちゃんの目の前でにっこり笑うと、彼女は照れながらも自分から俺にキスをしてくれた。
これは凄く珍しい事!
嬉しくなって離れようとする彼女の頭に手を添えて、俺からも何度もキスをする。
啄ばむキスはどんどん深くなり、口内を貪り合い、なんとかふたりの唇が離れると彼女のお尻に自身をすりつける。
「はぁ…うさぎちゃん…もうヤバイ…シテいい?」
「///…私も…」
ピアノの前は窓から見えるからと、ドアのすぐ下にふたりで隠れる。
ここなら死角でしょ?
もう一度初めから彼女を解してあげようとしたけど、彼女が待てないと言ってくれたから、俺たちはすぐにひとつになった。
防音扉のすぐそばでは、その防音性はどこまで効き目があるのかとかは考えずに、たくさん彼女を揺さぶって、鳴かせた。
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