二人掛けのソファ




ここのところ兎に角バタバタしていて、ルートヴィヒはいつも忙しそうにしている。

私も手伝えることは手伝うようにしているが、それでも二人で過ごす時間はなかなか取れなかった。寝るときでさえ、バラバラなことも少なくない。


(ルートヴィヒはまだフェリシアーノやホンダと一緒かな)


以前なら、この時間はふたりでソファーに座り、寛いでうたた寝なんてしていたのに。そう思うと、急にソファーがとても大きく感じられた。寂しくなって俯くと、足元でじっとしていたアスターが私の顔を見上げた。


「きっと、私だけではないよね」


アスターの頭をぽんぽんと撫で、私は思いっ切り反り返った。背もたれに全て預けて、天井を仰ぎ見る。それから考えごとも色々していたのだが、しばらくしない内に睡魔が降りてきて、私は心地良くとろとろと微睡んでいた。


「やけに静かだと思ったら……寝ていたのか」


もう眠ってしまおう。そう思った瞬間、ルートヴィヒの声がして、空いていた横がゆっくりと沈んだ。いつの間に帰ってきたのだろう。まったく気が付かなかった。

今日もまた随分とお疲れのようで、彼の吐いた溜め息はかなり深かった。彼は私を抱き寄せると優しく名前を呼び、髪の上から額にただいまのキスをした。おかえりなさい、と声を掛けたい気持ちを抑え、私はうっすら開けていた目を閉じた。


「ああ、やっとお前とゆっくりできる」


彼はぴたりと私に寄り添いじっとしていた。彼の体温と低い声に、安堵すると共に幸せを感じる。今のこの時間が永遠に続いてくれるような気がした。

その内、もともと意識も曖昧だった私は、彼の寝息が聞こえだす頃にはもう眠りに落ちていた。







おかえりなさいは夢の中で



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